住宅における公室空間*の寸法・配置と、生活動作での腰部負荷との関係を明らかにし、生活動作時の身体の負荷からみた加齢対応住宅の評価モデル示すことが研究目的である。 今年度は、住宅の中でも手すり等の利用が敬遠される公室空間(リビング等)において「家具や建築などが身体動作を支える」という観点から「手をつき支える」という腰部負荷軽減と思われる動作に着目し、それが行われている箇所の実態についてのヒアリング調査を行った。その調査結果を分析した結果、特に立ち上がり時の動作について特徴的だったため、高齢者の被験者に対して計測実験を行い(実験項目は、住宅スタイルの違いから床から、椅子から、ソファからの手をつく立ち上がり動作の比較)、その時の負荷(動作時の最大腰部モーメント)を比較することで、空間の寸法・配置と動作時の負荷の関係を明らかした。この結果から、腰部負荷軽減という観点からは、高齢者の住まいについて一般的に言われているような「椅子やソファのしつらえられた洋間の生活が良い」ということは一概には言えず、洋風であっても和風であっても立ち上がり時に適切な箇所に手をつく、あるいは掴まる場所を設けるなど、生活者の動作に対する負担に対しこまやかは配慮をすることで動作時の負荷が軽減されることが明らかになった。これにより特定疾患を持つ人の望むライフスタイルの実現が可能であり、個別対応の建築空間のデザインに対する可能性を示すことができた。
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