有機無機ハイブリッド組成の前駆体としてビス(トリメトキシシリル)エタンを、純シリカ組成の前駆体としてテトラメトキシシランを、超分子鋳型効果によるメソ孔のテンプレート剤としてポリエチレングリコール(EO)-ポリプロピレングリコール(PO)-ポリエチレングリコール(EO)トリブロック共重合体を、テンプレート剤の分子集合を促進する添加剤としてトリメチルベンゼンを用い、相分離を伴うゾルーゲル反応を利用して、細孔径分布の狭い連続マクロ孔と、テンプレート剤による整ったメソ孔とを併せ持つゲルを作製した。その結果、テンプレート剤とトリメチルベンゼンのモル比を最も重要なパラメーターとして、トリメチルベンゼンの比較的低い領域では高い異方性の2次元六方最密構造をもつ円筒状のメソ孔が、比較的高い領域ではMesostructured Cellular Foam (MCF)と呼ばれるランダムな球状のメソ孔が、それぞれマクロ孔構造を大きく乱すことなく形成することが明らかになった。トリメチルベンゼンはトリブロック共重合体の棒状ミセルを長さ方向に安定化させる効果と、ミセルの芯部分を膨潤させてメソ孔径を拡大する働きを有する。またX線回折測定により、2次元六方最密構造の長距離秩序はほぼ単結晶的な高い秩序にまで向上させられることが見出された。 同様の有機無機ハイブリッド組成において、無定形であるが直径10nm以上のメソ孔を有する階層的多孔構造ゲルを円柱状に作製し、これを液体クロマトグラフィーのカラムとして成形して、内部に種々の溶媒および微量溶質を導入し、液体クロマトグラフィー法により多孔質ゲルの内部表面の極性を評価した。その結果ビス(トリメトキシシリル)エタンから得られる多孔体は、網目構造内部に炭化水素鎖を有するにもかかわらず、純シリカゲルと同等あるいはそれを上回る高い極性の内部表面を持つことが明らかになった。
|