研究課題/領域番号 |
15206088
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
井上 泰宣 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (30016133)
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研究分担者 |
西山 洋 長岡技術科学大学, 分析計測センター, 助手 (50303186)
斉藤 信雄 長岡技術科学大学, 分析計測センター, 助手 (40313572)
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キーワード | 共鳴振動効果 / 強誘電体 / 格子変位 / 反応選択性制御 / エタノール分解反応 / 銀触媒 |
研究概要 |
本研究は、周期性の格子変位である共鳴振動効果を応用し、制御機能を持つ固体触媒を開発することを目的とし、これまでにエチレンの部分酸化反応に対し、Mo表面にd電子金属であるPd=を高分散させたPd/Mo触媒において共鳴振動効果がPd分散依存性をもつこと、さらに、CuとAgを均一に混合させたCuAg合金薄膜において共鳴振動効果が合金組成依存性を持つことを明らかにしてきた。本年度は、共鳴振動効果をさらに発展させるため、共鳴振動を発生させる強誘電体基板の特性を変え、共鳴振動が触媒の格子変位および反応選択性に及ぼす効果について調べた。z-カットLiNbO_3強誘電体結晶の酸化物表面を573-973Kで水素処理し、表面層に還元層を析出させた単結晶基板を作製し、その結晶の両面に、Agを100nmの薄膜で蒸着して触媒素子を得た。水素還元温度を変えた素子について共鳴振動特性を調べ、共鳴振動特性は、973Kの高温処理に至るまで保たれるが、格子変位は753Kの処理では、ほぼ維持されるのに対し、973K処理では未処理基板の30%程度にまで低下することを示した。973Kの高温で処理した場合には、エタノールの分解反応に対する共鳴振動による活性増加の効果はほとんど観察されず、この結果は格子変位がきわめて小さいことに関連した。これに対して、753Kで還元処理した基板を用いたAg触媒の場合に、共鳴振動によってエチレン生成活性はほとんど変化せず、アセトアルデヒ生成活性が顕著に増加した。未処理基板を用いたAg触媒の場合には、逆にアセトアルヒド生成活性は変化せず、エチレン生成活性のみが共鳴振動によって増加したことから、基板の性質によってAg触媒の選択性に及ぼす共鳴振動効果が大きく異なるきわめて興味ある結果が得られた。
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