研究概要 |
実験では,一定断面積ダクトの下流に片側のみ拡大角2°のダクトを取り付け,それぞれのダクトに取り付けたプラズマトーチを作動させ燃焼モードの変化を観察した.一定断面積部でプラズマトーチによる擬似衝撃波が形成された場合でも,拡大部のプラズマトーチによる加熱の影響範囲は極めて限定的であり,拡大ダクト内に明確な擬似衝撃波は形成されなかった.この結果から,燃料噴射位置を複数段に分けることは,熱的チョークによるエンジン不始動を避けるには非常に有効であることがわかった. また,開き角を0.4°,0.7°および1.0°とした拡大ダクトを製作し,その中央部に取り付けたプラズマトーチを作動させて気流を加熱した結果,開き角0.4°の場合には擬似衝撃波を形成できた.0.7°の場合には,擬似衝撃波形成の前段階まで至った.これらの際に必要とした加熱量は,いずれも同じマッハ数の一定断面積ダクトで擬似衝撃波を形成するために必要な加熱量より大きかった.また,水素/窒素混合気をプラズマトーチ作動ガスとした場合,作動ガス中の水素が空気と混合して燃える割合は,一定断面積ダクトの場合に比べて低いと推定される結果が得られた. さらに,一定断面積ダクトで背圧加圧により形成される擬似衝撃波の先頭部の流速分布を粒子画像速度計により測定し,コーナー部で非対称な剥離が生じるという数値シミュレーションと定性的に一致する結果を得た. 数値シミュレーションにおいては,開き角2°の拡大ダクトで高温流噴射した場合の計算を行い,実験結果との比較を行っている.
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