研究課題/領域番号 |
15206091
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
航空宇宙工学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大林 茂 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (80183028)
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研究分担者 |
早瀬 敏幸 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (30135313)
佐宗 章弘 名古屋大学, 大学院工学研究科, 教授 (40215752)
齋藤 務 室蘭工業大学, 機械システム工学科, 教授 (00302224)
中橋 和博 東北大学, 大学院工学研究科, 教授 (00207854)
松島 紀佐 東北大学, 大学院工学研究科, 助教授 (40332514)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2006
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キーワード | 超音速流 / ソニックブーム / 衝撃波 / 航空機設計 / CFD / 最適化 / 感圧塗料 / 並列処理 |
研究概要 |
本研究のタイトルに含まれるサイレント(静粛)超音速という言葉は、その後の米国航空宇宙局(NASA)や我が国の宇宙航空研究開発機構(JAXA)のプロジェクト名に利用されており、この研究のインパクトが裏付けられている。本研究の2年目には、東北大学21世紀COEプログラム「流動ダイナミクス国際研究教育拠点」で招聘した楠瀬博士の協力も得て、超音速複葉翼理論を提案した。この理論は、古典的なブーゼマン翼の概念を応用して2枚の翼を用いて衝撃波を干渉させることで、造波抵抗を低減しつつソニックブームを根本的に削減することを目指しており、大型の超音速旅客機(SST)にも応用可能な革新的空力形状のコンセプトである。超音速複葉翼理論は、1930年代のブーゼマンに始まり、1950年代頃までは米国でも風洞試験が行われるなど、一定の興味がもたれてきた。しかし、1960年代にはコンコルドの実用化の気運が高まる中、国家プロジェクトとしてSSTの空力コンセプトがデルタ翼に固定され、次第に顧みられなくなった。本研究で確立された超音速複葉翼理論は、温故知新と実験・数値流体力学による新しい設計技術の組み合わせで、新しい学術的可能性を探ったきわめて独創的な研究成果である。数値流体力学(CFD)を用いた設計技術の面でも、本研究を通じ、単なる最適設計を越えて、設計空間の構造化と可視化を行い設計知識を獲得する「設計探査」(Design Exploration)という概念を提唱、SSTのみならず、NEDO「環境適応型高性能小型航空機研究開発」プロジェクトをはじめ、自動車・家電など他の産業分野へも応用が進んでいる。実験面でも、自由飛行試験によるN波計測の成功、複葉翼まわりの流れの可視化と翼間流れのチョーク現象とヒステリシスの確認など、特筆すべき成果を上げ、計算と実験を通じて複葉翼理論を確立することができた。
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