研究概要 |
地熱,風力,太陽光,バイオマス,中小水力等の自然エネルギーは,再生可能かつ低環境負荷であるが,それらのエネルギー密度は高くないことに加え,エネルギー生産量は気象条件等による変動が大きい。このため自然エネルギーの特長を生かすためには,各地域の自然条件,社会・経済システム,需要に適合した形で自然エネルギーを組み合わせ,経済性および環境負荷の面から最適なエネルギー供給システムとして利用することが合理的である。本研究は,地熱ヒートポンプ(GHP),太陽光(給湯,発電),風力発電を組み合わせた自然エネルギーシステムを対象として,システム設計法の構築とその実証試験を行うことを目標として実施中である。 平成15年度の研究実績の概要は以下の通りである。 1.最適化モデルの検討(中田,新妻,新堀) -申請者らが電力システムおよび化石燃料による熱供給システムについて開発してきた,経済性を中心とした評価モデルを自然エネルギーを導入した熱電併給システムへ拡張した。 -熱水タンク,GHPによる蓄熱機能を上記評価モデルに組み込んだ。 -供給および負荷側の変動に対する応答を検討した。 -環境効果,あるいは持続性を評価基準とするモデルについて検討した。 2.GHPの特性評価(新堀,浅沼,土屋,新妻) -地下水の流動挙動を考慮した地層内熱伝導モデルによりGHPの抽熱・蓄熱特性をモデル化した。 -本モデルを時変モデルへ拡張し熱需要に対する応答特性をシミュレート可能なコードを検討した。 -坑井掘削直後に抽熱特性を評価する手法を検討した。 3.気象データ,需要データの採取(浅沼,土屋) -病院(岩手県前沢町),学校(本学),児童福祉施設(岩手県一戸町),牧場(岩手県葛巻町)をモデル地域として策定し,風況,日照,地温,地下水流動等の気象データおよびエネルギー需要をデータ化した。 4.機器の実性能評価(浅沼,土屋,新堀) -小型の地熱ヒートポンプ,風力発電装置,太陽光発電装置,太陽光給湯装置を購入し,その過渡応答特性,負荷変動への応答等を評価開始した。
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