研究課題/領域番号 |
15207003
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大串 隆之 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (10203746)
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研究分担者 |
石原 道博 大阪女子大学, 理学部, 講師 (40315966)
山内 敦 京都大学, 生態学研究センター, 助教授 (40270904)
高林 純示 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (10197197)
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キーワード | 間接効果 / 相互作用 / 種多様性 / 植食者 / ヤナギ / フィードバック効果 / 捕食者 / 匂い物質 |
研究概要 |
1.ヤナギの人為的な伐採による昆虫群集へのフィードバック効果を調べた。ヤナギが伐採された後、多くの萌芽枝が伸長するとともに新葉の生産が活発化された。この結果、ヤナギクロケアブラムシ、ムナキハムシ、ヤナギルリハムシなどの植食性昆虫とカメノコテントウ、クモなどの捕食性昆虫の密度と種多様性が増加した。これは、植物資源の量と質の増加に伴うフィードバック効果と考えられた。 2.ポット植ヤナギの匂い分析を行った。葉をちぎって分析したところ、ベンズアルデヒドとその類縁体を検出した。ポット植えのヤナギでは、ベンズアルデヒド等は主要成分としては検出されなかった。ヤナギルリハムシ幼虫、成虫,機械傷処理株および健全株では、幼虫、成虫、機械傷処理株でオシメン、ファーネセン、ジャーマクレンDと予想されるテルペンを検出した。ハムシ食害、傷害に対するヤナギ匂い応答は質的に同じと思われる。 3.ヤナギルリハムシが夏に減少する理由を調べた。夏には葉の老化にともない成虫パフォーマンスが低下した。葉の老化にヤナギグンバイの食害が加わることによって、ハムシのパフォーマンスを低下させたと考えられた。ヤナギグンバイによる食害の増加が他の植食者にも影響を及ぼしているかを検討するために、植食者群集の季節消長を調べたところ、アブラムシに夏の減少は見られたが、鱗翅目昆虫の幼虫の減少はなかった。 4.植食者からの摂食圧が植物の一次生産や繁殖を促進させる現象について、植食者の排泄を通じた栄養のフィードバックに注目した「Nutrient Cycling仮説」と植物の最適成長スケジュール(フェノロジー)の進化を結びつけて、それが生じる条件を理論的に明らかにした。数理モデルの解析からは、Grazing Optimizationは貧栄養条件下で生じること、植物個体間の栄養を巡る競争によって促進されることが明らかになった。
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