研究概要 |
1、ヤナギルリハムシの季節消長が質の高い新葉の現存量の季節変化に強く関係していることを明らかにした。特に葉の老化が進む夏や秋には、成虫と卵は二次展葉した新葉に集中的に分布していた。また。ヤナギの質を介したヤナギグンバイや撹乱からの効果は、ヤナギルリハムシだけでなくアブラムシなどの他の植食者に及んでいることが示唆された。 2、「真社会性膜翅目におけるSymmetric Social Hybridogenesisの存続条件」に関する研究を行い、この成果はJournal of Theoretical Biologyに受理された。また「第3の形質が配偶者選択による同所的種分化に与える影響」の研究を進め、その成果を投稿中である。 3、本年度は、これまでに設計した各種防衛遺伝子のプライマーを用いてジャヤナギがヤナギルリハムシ成虫および幼虫に食害された場合に、どの様な誘導防衛反応を示すのかを転写レベルで詳細に解明した。 4、これまでの3年間の総括を行い、間接効果と非栄養関係を従来の食物網構造に組み込んだ新たな「間接相互作用網(Indirect interaction web)」の考え方を提唱した(Annual Review of Ecology, Evolution, and Systematics 36:81-105)。これに基づいて、植物の形質を介した間接効果が、植物上の昆虫群集における相互作用と種の多様性を生み出している重要なメカニズムであることを明らかにした。さらに、間接相互作用網の概念を普及させるために、「Ecological Communities : Plant Mediation in Indirect Interaction Webs, Cambridge University Press」の編集を行った(8月刊行予定)。
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