研究概要 |
単細胞鞭毛藻ミドリムシ(Euglena gracilis)の光運動反応は紫外〜青色域にピークを持ちフラビンの吸収スペクトルによく対応する作用スペクトルを示す。近年、我々はこの青色光感覚を司るフラビン蛋白質を、ミドリムシの鞭毛基部のPFB(paraflagellar body)と呼ばれる構造から精製・同定した。このフラビンタンパク質(光活性化アデニル酸シクラーゼ;PAC)は分子量約40万で、大小2種類のサブユニットからなるヘテロ四量体であり、各サブユニットにはFAD結合領域と、アデニル酸シクラーゼの触媒領域がに交互に2箇所ずつ含まれている。このフラビンタンパク質のアデニル酸シクラーゼ活性は青色光照射により劇的に上昇する(Iseki et al.2002,Nature)。 今年度は、4年計画の第1年度であるので、光処理に対する酵素活性の応答の解析や発色団-アポ蛋白質相互作用の分光学的解析のために、十分な量のサンプルを調製する方法の確立を目指した。種々の方法を試みた結果、FAD結合領域を大腸菌において発現させ、可溶性画分として精製し、吸収スペクトルの測定できる濃度を得ることに成功し,このサンプルについての分光学的解析に着手した。
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