研究概要 |
真核単細胞鞭毛藻ミドリムシの光運動反応を司るユニークな生体青色光センサー分子「光活性化アデニル酸シクラーゼ(PAC)」の青色光信号捕獲領域であるフラビン結合ドメインの光化学的変化を反応速度論的に解析した:PACはαとβの2種類のサブユニットから成り、それぞれがフラビン結合ドメイン(F)と酵素活性ドメイン(C)が交互に配列したF1-C1-F2-C2の構造をもつ。青色光信号の照射によって引き起こされるFドメインの吸収スペクトルの長波長シフトとその暗黒下における回復の過程(光反応サイクル)に着目し、αとβの2つのサブユニット由来のFドメインサンプルについて詳細に比較検討を行った結果、αとβの2つのサブユニットのF2ドメインの光感度や量子収率、さらに暗回復の半減期が大きく異なり、その間の機能分化が示唆された(後者は光感度・量子収率とも前者より1桁ほど低く、また半減期は1桁ほど短かった)。これらの結果と分子系統解析の結果を総合して考察すると、αF2とβF2は、その起源は相当異なり、またその機能は前者は弱光の比較的ゆっくりした感受、後者は強光の比較的素早い感受を受け持っていることが示唆された。(Ito et al. 2005,Photochem, Photobiol.Sci,4,762-9)
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