研究概要 |
ミドリムシの光行動の光センサーPACは光感受ドメインとcAMPを生成する酵素活性ドメインを持っていて青色光で活性化されるので、PACを細胞工学的に任意の細胞に導入すれば,光条件を変えることで,細胞内のcAMP濃度を人為的に変化させ,各種の生命活動をコントロールする「細胞機能光スイッチ」として応用できよう。動物の中枢シナプスでは伝達調節機構として細胞内cAMPが重要な役割をはたすので、アメフラシ側神経節内の感覚ニューロンを用い、cAMPを細胞内注入すると活動電位の高さの減少と幅の増大が見られるが、PACを細胞内注入後、または遺伝子導入により発現させた後、青色光を照射しても同様の形状変化が見られた。さらに、ドイツグループとの5年にわたる共同研究の成果として、アフリカツメガエル卵母細胞やヒト培養細胞さらにはショウジョウバエ個体においてこのような機能発現や行動の光制御の実現例を報告した。また、ミドリムシにおけるPAC発現抑制操作であるRNAi効果の長期持続クローン株を樹立した。それにより、光逃避反応の光センサーであるPAC以外の未知の光集合反応光センサーの探索基盤が整備された。
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