1)分裂酵母Rho4と上流因子の解析 分裂酵母rho3、rho4、rho5遺伝子をクローニングし、Rho4の解析を行った。rho4遺伝子破壊細胞ではF-アクチンパッチの局在性が失われ、細胞質微小管の配向性も乱れていた。電子顕微鏡観察によると、二次隔壁と細胞壁は異常に厚くなっていた。活性化型変異Rho4の発現では細胞の形状が異常になった。F-アクチンパッチが局在を失い、微小管の配向も異常になった。Rho4とチューブリンに遺伝学的相互作用があることが分かった。間期ではRho4は細胞の成長端に、分裂期では分裂位置に局在した。以上からRho4はアクチンパッチの局在と微小管の構築を制御し、隔壁と細胞壁形成を制御していることが分かった。Rho4はそのRhoGDIであるRdi1によりその局在が制御され、RhoGAPのうちRga9によりその活性が制御されていることが分かった。 2)ウニ卵IQGAPの機能解析 ウニCdc42遺伝子をクローニングした。ウニCdc42はヒトCdc42とアミノ酸レベルで87%の同一性を示した。ウニCdc42をセファロースビーズに結合させ、GTPγS存在下でウニ卵抽出液とインキュベートしたところ、分子量180Kのタンパク質が特異的に結合した。部分アミノ酸配列から、この成分はIQGAPであることが分かった。またビーズを抽出液とインキュベートすることによりその表面でアクチンが重合していることが分かった。ウニIQGAPの抗体を作裂し、卵抽出液からIQGAPを除いたところアクチンの重合は起こらなくなった。また分裂中にはIQGAPが分裂溝に局在すること、収縮環アクチン繊維よりわずかに細胞質側に存在することが知られた。
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