1)分裂酵母rho4、rho5遺伝子をクローニングした。Rho4はアクチンパッチの局在と微小管の構築を制御し、隔壁と細胞壁形成を制御していることが分かった。Rho4はRhoGDIにより局在が制御され、RhoGAPのRga9により活性が制御されていることが分かった。 2)ウニCdc42はヒトCdc42と87%の同一性を示した。これにIQGAPが結合してアクチンを重合させることが分かった。また分裂中にはIQGAPが分裂溝に局在する。 3)分裂酵母のII型ミオシンMyo2が分裂位置に集まるのにC末端の134残基が必要十分である。この中にあるSer1444はG2期にリン酸化されているが、M期に脱リン酸される。するとMyo2は、予め分裂位置に核から移動しているMid1を標的として集合することを示した。 4)分裂酵母Rho1のGEFであるRgf1とRgf2は間期に細胞の伸長端に、分裂期では隔壁に局在して細胞壁と隔壁の合成に関与する。Rgf3は分裂面にリング状に集積し、分裂の進行とともに収縮した。Rgf3は分裂期にRho1を介した収縮環の形成・維持と隔壁形成を調節すると考えられる。 5)ミオシンS1修飾法/電顕観察により分裂酵母のアクチンケーブル中のアクチン繊維の方向性を決定した。間期のケーブルのアクチン繊維のB端は細胞成長端を向き、分裂期では細胞中央を向いていた。ミオシンVがケーブル上を、細胞成長に必要な物資を成長方向に向けて運ぶ、という仮説を提唱した。 6)分裂酵母のアクチン脱重合因子Adf1は間期にはアクチンパッチに、分裂期には収縮環に局在した。Adf1はアクチン切断活性により収縮環形成に働く。その働きはトロポミオシンと拮抗した。収縮環の形成にはミオシンと協調的に働くことも分かった。これらからAdf1は収縮環の形成と安定化に働いていると考えられた。
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