研究課題/領域番号 |
15207016
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
仲村 春和 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (90079690)
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研究分担者 |
舟橋 淳一 東北大学, 加齢医学研究所, 助教授 (00270827)
渡邉 裕二 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助手 (80301042)
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キーワード | ニワトリ胚 / 小脳 / Fgf8-Ras-ERKシグナル経路 / 調節 / Sprouty2 / 強制発現 / 視蓋 |
研究概要 |
峡部オーガナイザーシグナルFgf8により、峡部の前に視蓋が、後に小脳が誘導される。Fgf8により、Ras-ERKシグナル経路が活性化されたところが小脳に分化し、その経路を遮断すると視蓋が分化する。本年度はまずRas-ERkシグナル経路の負の制御因子として働くSprouty2について解析を行った。Sprouty2はFgf8により急速にその発現が誘導されるが、自身はその経路の負の調節因子として働くことが示された。Sprouty2の強制発現により、Ras-ERKシグナルが抑制され、後脳部はその発生運命を変え視蓋として分化する。ドミナントネガティブ型Sprouty2を強制発現すると、中脳後脳境界が前によった。各領域のマーカー遺伝子の解析により、中脳後脳境界が的確に形成されるためには、Fgf8により活性化されるRas-ERKシグナルは厳密に制御される必要があることが示された。 Ras-ERK経路にはいくつかの負の調節因子が存在するが、これはそのシグナルを厳密に制御する必要があることを物語っていると思われる。小脳が分化するためにはFgf8によりRas-ERKシグナル経路が活性化される必要があるが、小脳原基でのERKの活性の時間経過から、その活性はすぐに抑制される必要があるのではないかと考えられた。Fgf8bの強制発現で中脳胞の発生運命が小脳に変わるときにも、中脳胞でERKが活性化され、すぐに不活性化される。この不活化には、Fgf8bによって誘導されるSprouty2が関与していると思われる。そこで、Fgf8bとDN-Sprouty2を強制発現させて、ERKの活性をずっと保ったままにしたところ、中脳胞の後脳化が見られなかった。すなわち、小脳が分化するためにはいったんRas-ERKシグナル経路が活性化され、次にその活性が抑えられる必要があるということである。
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