研究課題
基盤研究(A)
2003年から2006年にかけて韓国(春川)、中国(大連)、台湾(台中)、日本(札幌、北九州)の4カ国・地域5都市における9歳から15歳の児童・生徒約3400名の調査を実施し、1.形態測定、2.体力・運動能力測定、3.ダグラスバッグ法による安静代謝量測定、加速度計装着による身体活動量調査、及び自記法による生活行動調査、4.自記法による食生活と食事内容調査、及び国・地域別食品成分表による栄養摂取量の計算、5.手指の冷却後の皮膚温回復経過からみた局所対寒反応と寒冷適応性、6.質問紙法による調査:生活時間、生活環境、情報機器使用などの生活行動、初潮などの成長記録、アレルギー疾患などの健康記録の解析を行った。概要は以下のとおりである。・韓国、中国、台湾においては、近年の都市化及び生活環境の変化に伴い、身長、体重に代表される体位は大幅に向上し、最初に都市化が進んだ日本の同年代の子どもたちをそれぞれ上回った。時に中国の高身長化が著しい。しかし、BMI,体脂肪比率に示される肥満傾向も一段と進み、その傾向は特に韓国、台湾で著しい。逆に日本では若年層の痩身化のために、東アジア諸国との差が拡大した。・体力・運動能力も体位の向上とともに向上していることが認められるが、韓国、台湾では肥満傾向が多くの体力指標に負の影響をもたらしていることを明らかにした。・4カ国・地域5都市の約3400名のアンケート調査結果をデータベース化し、生活時間と居住環境のそれぞれの特性について明らかにした。加えて、他の項目も合わせ、健康に関連する項目の構造化について分析した。・韓国、中国の子どもに対し加速度モニタリングによる身体活動量の関係を求め、活動量の性差、年齢差を明らかにした。・各地域の栄養・食生活と体格変数の関係を求め、その関係の地域による特徴を明らかにした。・局所耐寒性測定システムの開発と有効性の研究に取り組み、接触圧力(3条件)、気温変化(5条件)のもとでの指標の再現性を明らかにした。さらに、従来の冷氷水を用いる寒冷血管反応との関連性を明確化し、地域差・生活習慣に影響されていることを明らかにした。
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