研究課題/領域番号 |
15207024
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
曽根 良昭 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 教授 (60145802)
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研究分担者 |
広田 直子 長野県短期大学, 生活科学科, 助教授 (60218857)
新平 鎮博 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 教授 (50171369)
木村 佳代 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 講師 (00336794)
荻布 智恵 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 助手 (80336792)
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キーワード | 季節変動 / breath hydrogen test / 消化管活動 / 胃電図 / 環境適応能 / 生理的多型性 |
研究概要 |
本研究は、食事中の糖質が人の消化器官において消化・吸収されずに大腸に達すると、大腸の細菌叢により代謝・醗酵され、それにより生じた水素ガス(メタンガス)が呼気中に排出され、その量を一定時間測定することにより、糖質の消化・吸収の効率を推測し、その季節変化を検討することを目的としている。さらに、胃の電気的活動をモニターする、胃電計を用いて、同じ実験参加者の、胃の電気的活動の季節変化についても検討した。また、本研究では、日本に比べ、季節の環境変化が大きい、ポーランド・北東部の都市、ポズナンにおいても、同じ呼気ガス分析により、糖質の消化・吸収の効率の季節変化を測定して、それにより、日本とポーランドでの季節変動の違いを考察して、人の消化器官の環境適応能についての知見を得ようとした。平成15,16年度で得られたデーターにつき、平成17年度ではその解析を行ない、(1)大阪と長野においては、糖質の消化・吸収効率の季節変化に有意な差が見られなかった。(2)大阪と長野のデータを総合して分散分析により解析すると、糖質の消化・吸収効率の季節変化に有意な差が見られ、その効率はよい順に、秋>春>夏>冬となった。(3)秋の効率と冬の効率には、有意な差があり、冬においては、摂取した食事中の糖質の少なくとも10%が消化・吸収されなかった。また、平成17年度の初めに完結したポーランド・ポズナンにおける糖質の消化・吸収効率の季節変化についても解析・日本の結果と比較・検討したところ(1)日本人の実験参加者の非消化性オリゴ糖の口-盲腸通過時間はポーランド参加者のそれに較べ、有意に長い(2)ポーランドにおいても糖質吸収の季節性が存在する(3)夏においては、ポーランドの未消化糖質の量が日本のそれ較べて有意に低いという結果を得た。日本の結果については2005年6月の第53回日本生理人類学会で発表し、大学院博士課程の共同研究者・津村が発表奨励を得た。またこの結果はChronobiology International誌に掲載された。 日本とポーランドの未消化糖質の季節性の比較については2005年6月にモスクワで行なわれた日本生理人類学会-モスクワ大学ジョイントシンポジウムで発表、またJ.of Physiological Anthropology誌に掲載された。また、関連の成果についても日本生理人類学会の大会で発表した。平成17年度は以上のように、平成15年、16年度に得られた結果を解析し論文・発表にまとめた。また、若年者の胃の電気的働きの季節性の解析は今年度内に行う予定である。平成17年度では、消化器官の活動が衰えるといわれる高齢者についても、平成15年、16年度に若年者に行ったと同じ実験を大阪、長野、ポーランドでも行ない、今年度3月には完結する予定で、実験終了後、若年者と高齢者の糖質吸収の季節性の比較、それぞれの季節での糖質吸収効率の比較を行なう。
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