研究概要 |
青年男性40名を被験者として味覚閾値,唾液分泌量,胃電図正常波比率,時間推定,主観評価等に対する光の照度,色温度の影響について検討した。また,被験者の性格特性を調査した。唾液分泌量は低照度で高照度より有意に多く,甘味閾値は低照度,低色温度で有意に高くなることが明らかになった。A型行動パターン被験者の唾液分泌量は照度の影響が認められなかったのに対して,B型行動パターン被験者では低照度条件で有意に分泌量が多いことが明らかとなるなど,性格特性により,唾液分泌,味覚閾値,推定時間などへの照明の影響が異なることが明らかとなった。 機能的潜在性としての心臓脈管系動態の直立耐性に関する生理的多型性を調べるため、運動処方前後で体位変換時の循環系諸測度を求めた。運動処方は60%最大酸素摂取量強度の自転車エルゴメータを30分・週3回・3ヶ月間であった。運動群において最大酸素摂取量の増加とともに体位変換時の一回拍出量の増大と心拍数の低下がみとめられた。また運動群では心拍出量の個人差が減少し一回拍出量の個人差が増大した。これらの変化は対照群ではみとめられなかった。運動処方により直立時の心拍出量の個人差は小さくなる一方でその調節課程における個人差が増大したことは、直立耐性における一つの生理的多型性を示していると考える。 環境適応能研究において、高次神経機能の絶対値計測は重要な知見をもたらす。近赤外分光法による時間分解計測法を用いた血液濃度絶対値計測を実施した。その結果、1)左右の前頭前野における血液濃度に差異があり活動が異なっていることが明らかとなった。また、2)大型スクリーンを用いて視覚刺激を行ったところ、前頭前野10カ所の部位ごとに異なる応答を示し、活動の局在性が認められた。さらに3)チョコレートの味覚・嗅覚刺激を行ったところ、パーソナリティの違いによって前頭前野の活動に有意差があることが分かった。
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