研究概要 |
高等植物ミトコンドリアの分裂に関わる因子として本研究室が昨年度同定したシロイヌナズナのDRP3B遺伝子を用いて,本年度はこれの優性変異遺伝子を高発現するような形質転換植物体を製作した.この植物体では細胞内でミトコンドリアが変形し巨大化した.しかし,意外なことに植物体自体は正常に成育し,稔性もあることがわかった.この植物は今後ミトコンドリア形質転換をする際の,標的ミトコンドリアを供与する系統として利用する予定である. また,研究の過程でミトコンドリア分裂抑制による形態の変化が,細胞分裂に伴うことなく予想以上に速やかに長大化することがわかってきた.この結果は,植物ミトコンドリアが頻繁に融合していることを示唆していた.そこで,近年発見された新規蛍光タンパク質Kaedeを利用して,以下の実験をおこなった.Kaedeは,緑色蛍光をもつタンパク質でありながら,紫外線を当てると赤色に変わる性質がある.1個の細胞内のミトコンドリアの一部を緑色に,また一部を赤色に蛍光ラベルし,赤と緑のミトコンドリアが融合して黄色(赤+緑)に変色する様子(融合する様子)を確認することに成功した.また,他方で葉緑体やペルオキシソームは融合しないことなども確認見出した.
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