研究概要 |
AtFIS1の同定 酵母Fis1の配列をもとに,シロイヌナズナの全ゲノム中より2つのFis1ホモログを同定し,それぞれAtFIS1a, AtFIS1bと命名した.これら2つの遺伝子のコードするタンパク質は,C末端に膜貫通ドメインと予測される疎水性に富んだ領域を有しており,酵母FIS1とよく似た構造をしている.AtFIS1aの発現をノーザンハイブリダイゼーションで解析したところ,解析をおこなった器官すべてで発現が確認された.一方, AtFIS1bはRT-PCRでは増幅できたものの,ノーザンハイブリダイゼーションでは検出できなかった.この結果から,主にシロイヌナズナで発現しているのはAtFIS1aであると考え,以下AtFIS1aの解析を行うことにした. AtFIS1aはミトコンドリア,ペルオキシソーム,葉緑体に局在する まず,AtFIS1aがミトコンドリアに局在するかどうか調べるために,AtFIS1aとGFPを融合させたコンストラクトを4種類作製し,パーティクルガンでタバコ培養細胞BY-2に導入した.AtFIS1a全長のN末端にGFPをつないだコンストラクトでは,ミトコンドリアを取り囲むように局在する様子が観察された.この実験の際,ミトコンドリア以外にも局在するGFPのシグナルが観察され,AtFIS1aはミトコンドリア以外のオルガネラにも局在していることが示唆された.そこで,他のオルガネラヘの局在も調べたところ,ペルオキシソームと葉緑体にも局在することが分かった.また,C末端の疎水性領域をGFPに連結したコンストラクトでも,ミトコンドリア,ペルオキシソーム,葉緑体に局在したことから,この領域がこれらのオルガネラへの局在に必要であることが分かった.
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