研究課題
基盤研究(A)
イネに対する塩ストレスと水ストレスの影響を比較したところ、葉緑体に対する障害は塩ストレスの方がはるかに顕著で、特にチラコイドに顕著な障害が現れた。明暗条件でさまざまな塩濃度でイネを栽培し、葉組織内の塩濃度と葉緑体障害との関係を明暗条件で比較した。組織内のNa, Cl濃度およびNa/K比が高い場合でも暗条件では障害は現れにくく、塩ストレスによる葉緑体への障害は、光に依存して発生する活性酸素によって引き起こされると考えられた。そこで活性酸素消去剤の効果を調べたところ、多様な活性酸素分子種に効果のあるアスコルビン酸と、ヒドロキシルラジカルの消去剤である安息香酸が有効であった。また塩ストレスによって葉組織のSOD活性は著しく上昇するが、APXは変化せず、葉組織の過酸化水素濃度が高まると考えられた。実際、組織化学的手法によって葉内の過酸化水素濃度が高くなっていることが確認された。したがって、葉緑体の障害は過酸化水素と、それから派生するヒドロキシルラジカルによって引き起こされると結論された。イネの水耕栽培と土耕栽培において、塩ストレスによる成長抑制に対する共存イオンの軽減効果を調べた。水耕栽培ではCa^<2+>による軽減効果が最も顕著であったが、土耕栽培ではK^+の方が有効であった。さらに人工水田を用いて収穫期まで栽培した実験では、K化合物の中でもKNO_3の投与が最も有効であり、収量の回復も認められた。また栽培方法、共存イオンの種類にかかわらず、成長抑制と地上部のNa/K比との間にNa含量よりも高い正の相関があった。したがって塩ストレスによる成長抑制を軽減するには、地上部のNa/K比を低くする栽培方法が有効であると考えられた。また低濃度のメチルビオロゲンを事前に処理すると塩ストレス障害は軽減され、APXの活性も上昇した。したがって、塩ストレスで発生する過酸化水素を有効に代謝させることも障害軽減に有効であると考えられた。
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