研究概要 |
バキュロウイスルの必須制御遺伝子ie1の転写活性化能について哺乳動物細胞を用いて解析した。その結果、多くのプロモーターはそのままではie1により活性化を受けないが、コアプロモーター領域のみにすることで活性化を受けることが判明した。このことから、哺乳動物細胞中ではielによるウイルス遺伝子発現制御は通常、コアプロモーターの上流配列の作用により阻害されることが推定された。また、AcNPV(バキュロウイルス)を各種哺乳動物細胞(HeLa, Vero, BHK)に感染させ、細胞内におけるウイルス遺伝子の発現についてウイルス全遺伝子(約130個)を含むDNAマイクロアレイを用いて解析した。その結果、少なくとも、10種類のウイルス遺伝子の発現が検出された。これらの遺伝子の内、全ての細胞で共通して発現が認められたウイルス遺伝子の存在が明らかとなった。 BT・セレウス(BC)菌に存在する、3種類のエンテロトキシン遺伝子(entFM、nhe、hbl遺伝子)をクローニングし塩基配列決定を行い、それぞれのエンテロトキシン遺伝子の違いを比較した。それぞれのエンテロトキシン遺伝子は、全く同じではなかったが、95%程度の相同性を示し、BT・BC菌でもエンテロトキシンが存在していることが明らかとなった。食中毒を引き起こす原因となるBC由来のエンテロトキシンであるNHE(非溶血性エンテロトキシシ)のBTにおける生物活性について調査した。ent遺伝子(entA&B)をクローニングし、大腸菌の大量発現系を用いて発現させ、精製した後、抗NHE抗体を作製した。精製したNHEA乃びNHEBの生物活性試験により、2つの蛋白が同時に存在することによってベロ毒活性を有することが明らかとなった。また、作製した抗体によりNHEがBCだけでなくBTでも発現していることが明らかとなった。
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