研究概要 |
AcNPV(バキュロウイルス)を各種哺乳動物細胞(HeLa, Vero, BHK)に感染させ、細胞内におけるウイルス遺伝子の発現についてウイルス全遺伝子(約130個)を含むDNAマイクロアレイを用いて解析した結果、少なくとも10種類のウイルス遺伝子の発現が検出された。これらの遺伝子に関してRT-PCRを用いてその発現を確認したところこれら以外の多くの遺伝子も量的には少ないものの発現している可能性が示唆された。また、これらの細胞で細胞のアクチン遺伝子の発現が促進されることや、その発現促進にはウイルス遺伝子の発現は必要でないことなどが示唆された(論文投稿中)。 Bt・セレウス(Bc)菌に存在する溶血毒素HBLの性状について調査した。Bcの保持するhbl各遺伝子の塩基配列を基にプライマーを作製し、PCR法により、HBL構成タンパク質をコードするhbl遺伝子をBt morrisoni HD12株からクローニングし、大腸菌での発現系を用いて発現させ、そのHBLタンパク質が溶血活性とVero細胞毒性を有することが明らかになった(論文投稿中)。実際に食中毒患者の便から分離されたBc FM1株についてHD12株と同様にhbl遺伝子をクローニングして大腸菌で発現させ、HD12株の溶血活性とVero細胞毒性活性の比較を行ったが違いはなかった。また、HBLに対する抗体を作製し、BtならびにBcにおいてHBLが栄養型細胞増殖期に分泌されていることが明らかとなった。HBL溶血活性機構解明を目的として、溶血活性を示す際に重要な役割を果たすといわれるBタンパクの赤血球膜との結合分子の解析を行い結合性のある膜タンパク質分子(14kDa)が存在していた。
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