研究課題/領域番号 |
15208007
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高木 正見 九州大学, 農学研究院, 教授 (20175425)
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研究分担者 |
大庭 道夫 九州大学, 農学研究院, 教授 (80038281)
桑野 栄一 九州大学, 農学研究院, 教授 (00108672)
清水 進 九州大学, 農学研究院, 教授 (20187454)
多田内 修 九州大学, 農学研究院, 教授 (10150509)
緒方 一夫 九州大学, 熱帯農学研究センター, 教授 (40224092)
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キーワード | 総合的害虫管理 / 東南アジア / 生物的防除 / リサージェンス / 天敵昆虫 / ナス害虫 / ベトナム / タイ |
研究概要 |
東南アジアにおける蔬菜の総合的害虫管理に関する研究として、今年度は、ベトナムでハモグリバエ類とその天敵に関する調査を行った。特に、中部ベトナムのフエ近郊での調査に重点を置き、ネギハモグリバエとその寄生蜂の野外調査を行い、露地ネギを通年栽培している農家において、化学農薬多用によるリサーゼンスの現状を明らかにした。これと同時に、ハノイ農業大学(北部)とフエ大学(中部)、ノンラム大学(南部)の研究補助者を組織化し、蔬菜加害性ハモグリバエ類とその天敵類をベトナム全土から収集する体制を構築し、それによって得られた標本の同定作業を開始した。また、タイのカセサート大学カンパンサンキャンパス周辺の農薬無散布ナス圃場で、ナスに特異的に生息するヒメジンガサハナカメムシの分布が、アザミウマでなくむしろハダニの密度に依存しているのを明らかにし、多食性捕食者が複数種の害虫の密度抑制に寄与している実態を明らかにした。 一方、わが国における蔬菜の総合的害虫管理に関する研究としては、昨年に引き続き、福岡の施設ナスでタイリクヒメハナカメムシを用いたアザミウマの生物的防除防除を中心にした総合的害虫管理システムを確立し、その実証試験を行った。今年度は特に、害虫と天敵の空間分布構造明らかにした。また、宮崎県では、エンドウに発生するナモグリバエを利用した土着寄生蜂自然増殖システムを確立し、それを用いたハモグリバエの生物的防除の実用化試験を行った。さらに、高知県において、土着天敵を利用した蔬菜害虫の総合的害虫管理に関する研究を行った。これらの野外研究とは別に、数種化学農薬がタイリクヒメハナカメムシとハモグリミドリヒメコバチに及ぼす非致死的影響に関する研究を行い、天敵に優しいとされている化学農薬でも、天敵に対して、色々、異なった形で、何らかの影響を与えることを明らかにした。
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