研究課題/領域番号 |
15208010
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
吉田 稔 独立行政法人理化学研究所, 吉田化学遺伝学研究室, 主任研究員 (80191617)
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研究分担者 |
八代田 陽子 独立行政法人理化学研究所, 吉田化学遺伝学研究室, 研究員 (60360658)
吉田 雪子 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (90271543)
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キーワード | HDAC / Trichostatin A / transcription / PKC / CBP |
研究概要 |
昨年に引き続きタンパク質脱アセチル化に関与するHDAC酵素のうち、核内の特定の構造体(HDAC4/Bach2body)に存在するHDAC4と細胞質に局在し、微小管の脱アセチル化に関与するHDAC6の機能解析を行った。昨年度HDAC4はBach2とともに酸化ストレスに応答して核移行し、核内で点状構造に局在することを見出したが、今年度はHDAC4のその核移行がPKCによって阻害されること、この阻害はHDAC4のリン酸化とそれによる14-3-3の結合によることを明らかにした。14-3-3の結合により、NLSがマスクされ、核移行が阻害されることが示された。さらに活性型PKCアイソフォームを用いた研究から、HDAC4の核移行を制御するPKCはcPKCではなく、nPKCであることがわかった。一方、我々がチューブリン脱アセチル化酵素であることを同定したHDAC6は、EGFやトランスフェリンの細胞内取り込みを抑制するが、これは初期エンドソームの細胞内輸送を抑制するためであることがわかった。HDAC6をノックダウンした細胞では、逆にエンドサイトーシスが促進し、増殖因子受容体のリガンド依存的な分解が促進されることが明らかになった。このことはHDAC6がシグナル伝達の制御にも関わることを示唆する。さらにタンパク質アセチル化の包括的な役割を解析するため、HDAC阻害剤Trichostatin Aで処理したCOS細胞からアセチル化タンパク質を免疫沈降後、それぞれのアセチル化タンパク質を質量分析によって同定したところ、SV40のlargeT抗原がアセチル化されることが明らかになった。T抗原のアセチル化はCBPによって行われ、脱アセチル化はHDAC1およびSIRT1が関与する。アセチル化されたT抗原は、分解速度が速くなることから、T抗原のアセチル化はタンパク賞の安定性を制御する新しい機能であることが示唆された。
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