研究課題
地下部の菌類相の攪乱により、地上部の植物への養分供給に関わるリター分解速度が変化するか?について明らかにするため、ミズナラのリターバッグを林床に設置し、定期的に2種類の殺菌剤(ベノミル、チルト)の水溶液と対照区として水のみを散布する処理を行った。2年後にリターバッグを回収し、重量変化を比較したところ、3処理間で有意差が認められた。チルトと対照区では差が認められなかった。ところが担子菌よりも子のう菌に対して殺菌効果の高いベノミル処理区においてもっともよく分解される傾向が認められたことから、リターの分解能力の高い担子菌が選択され通常よりも高い分解率が得られた可能性がある。また、マイズルソウの菌根形成率は対照区に比べてベノミル区で低下した。さらに地上部リン含有率および地上部乾物量も対照区に比べ、ベノミル区で低下した。18S rDNA部分塩基配列から、対照区ではアーバスキュラー菌根菌、担子菌および子のう菌が検出されたのに対し、ベノミル区では担子菌と子のう菌のみ、チルト区では子のう菌とアーバスキュラー菌根菌のみが検出された。これらのことからアーバスキュラー菌根菌がマイズルソウの生育とリン吸収に寄与していることが明らかになった。ミズナラのドングリを二次利用(一次利用者が食害した後のドングリを利用)する節足動物群を調査し、苫小牧研究林では、クロバネキノコバエ科の昆虫が主要な二次利用者であることを明らかにした。ミミズ操作区で2003、2004年に引き続き、密度を操作するためのミミズ除去を行った。枠内では枠外よりも密度が低く、除去区でもっとも低くなった。6月と10月に採取した土壌で窒素無機加速度を測定したが、窒素無機化には処理の効果が見られなかった。一方、落葉の堆積量はミミズ除去区で多くなり、ミミズの減少に伴い今後分解速度が低下するものと見られる。
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