研究課題/領域番号 |
15208022
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
木村 和弘 信州大学, 農学部, 教授 (40021092)
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研究分担者 |
今井 敏行 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (40026456)
森下 一男 香川大学, 工学部, 教授 (80036061)
星川 和俊 信州大学, 農学部, 教授 (40115374)
丸谷 知巳 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (40112320)
内川 義行 信州大学, 農学部, 助手 (20324238)
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キーワード | 技術構造 / 地域環境 / 環境保全 / 歴史的・文化的資源 / 人 / 土 / 水 / 防災意識 |
研究概要 |
1.本年度は、新たな在地技術を構築しつつある長野県栄村及び1300年の伝統を持つ飯山市小菅地区で現地調査を行い、中山間地域の農林業の持つ多面的機能を発揮する構造を、歴史的経緯まで広げて検討した。そこでは、自然資源の中で歴史・文化的特性が生み出され、住み続けることで地域環境を形成する独特な技術が生みだされていることが明らかになった。 2.3年間の研究をまとめた15編の報告について、資源利用-環境保全-地域防災の3軸の中でどのように位置付き、関連するかが検討された。環境保全機能をもつ農林業の諸技術の構造は、基盤技術、利用技術、維持管理技術の三者が組織としての人間関係の関連の中で形成されることが明らかになった。この結果が、ため池地域や急傾斜地集落の防災機能として生きており、それらは、在地という特殊な空間(場)に限定された技術であり、長期の時間的蓄積を得た在来技術であった。それ故、農林業技術によって得られた結果は、単一の目的だけなく、多面的な目的・機能を持つにいたり、高い技術=大規模技術という現在の技術観とは、異なる新たな技術観の構築の必要性が確認された。 3.中山間地域での農林業の持続が厳しい現在、地域環境を維持するための方法として、新たな地域活性化の方法についても検討された。地域資源の有効利用と内発的発展力を総合しての方向性について議論され、例として棚田のオーナ制度などが検討された。地域リーダーと一般住民を結びつけるサポート・システムやサポート技術が検討され、多面的機能を持った農林業技術のあり方が議論された。 4.以上をふまえて、第3回の公開シンポジウム「農林業の持つ地域環境の保全機能」を平成18年3月18日に開催した。また、3年間の研究成果は図書として出版準備中である。
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