研究課題/領域番号 |
15208026
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
秋葉 征夫 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (30005631)
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研究分担者 |
佐藤 幹 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (20250730)
阿部 啓之 独立行政法人, 農業・生物系特定産業技術研究機構・畜産草地研究所, 室長
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キーワード | PPAR / 糖代謝 / 脂肪細胞 / 骨格筋 / 高品質食肉生産 / 鶏 / トランスフェクション |
研究概要 |
本研究では、栄養制御を受ける転写因子peroxisome proliferator-activated receptor (PPAR)を鳥類の代謝特性を規定する主要因であるとの視点から、鶏におけるPPARの機能特性を明らかにするとともに、栄養素-遺伝子発現調節による高品質食肉生産性の向上の基盤を構築する。本年度は、鶏糖代謝・脂質代謝におけるPPARの機能解析をさらに推進するとともに、PPARを過剰発現する実験系の構築を試みた。 (1)鶏インスリン抵抗性のPPARによる制御機構の解明 PPARγの特異的リガンドであるtroglitazoneを経口投与した鶏では、骨格筋におけるインスリン感受性グルコース取り込みが増加した。さらに、脂肪組織における糖尿病改善因子であるadiponectinのmRNA発現がtroglitazone投与により増加する傾向が観察され、骨格筋におけるインスリンシグナル伝達の能力を示すリン酸化Akt蛋白量もtroglitazoneの投与により増加する傾向にあった。すなわち、生体内のPPARγを活性化することにより、骨格筋の糖代謝が活性化される可能性が示唆された。 (2)脂肪細胞分化過程におけるPPARの機能解析 前年度の研究で、PPARγが脂肪細胞分化のマスターレギュレーターであることが明らかとなったが、本年度は脂肪組織に発現するもう一つのPPARアイソフォームであるPPARβ/δの機能解析を進めた。PPARβ/δアゴニストであるGW501516を鶏前駆脂肪細胞系に添加すると、アゴニスト単独では脂肪細胞の分化を誘導しないものの、ホルモン・脂肪酸からなる分化誘導培地にアゴニストを添加すると、脂肪細胞の分化マーカーであるaP2 mRNA発現量が分化培地単独添加時に比べ大きく亢進した。よって、PPARβ/δは、脂肪細胞の分化を亢進させる機能を持つことが明らかとなった。 (3)PPAR発現を制御するコンストラクションの作成と細胞への導入 鶏PPARγ、PPARβ/δをpINDあるいはpTraceにコンストラクトして、様々なリポフェクション試薬あるいはエレクトロポレーションを用いて、鶏線維芽細胞に導入することを試みたが、試験に使用できる導入効率は得られなかった。現在、Adenovirus Vectorへのコンストラクトを進めている。
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