研究課題/領域番号 |
15208026
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
秋葉 征夫 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (30005631)
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研究分担者 |
豊水 正昭 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (80180199)
佐藤 幹 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (20250730)
阿部 啓之 独立行政法人, 農業・生物系特定産業技術研究機構・畜産草地研究所, 室長(研究職) (30391379)
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キーワード | PPAR / 糖代謝 / 脂肪細胞 / 骨格筋 / 高品質食肉生産 / 鶏 / トランスフェクション |
研究概要 |
本研究では、転写因子peroxisome proliferator-activated receptor(PPAR)を鳥類の代謝特性を規定する主要因であるとの視点から、鶏におけるPPARの機能特性を明らかにするとともに、高品質食肉生産性向上の基盤を構築することを目的とした。最終年度は、PPARγおよびβの機能解析を引き続き行うとともに、PPARγ誘導性因子の検索、およびPPARを利用した効率的な高品質食肉生産の可能性を検討した。 (1)PPARβの機能解析 ・in vitro : PPARβは、鶏脂肪細胞の分化に大きく関与するものの、PPARγ活性化状態でなければ分化誘導増強機能を発揮しないことを、アゴニスト(troglitazone, GW501516)およびアンタゴニスト(GW9662)を用いて証明した。またこの結果は、PPARγのDNA結合領域にmutationを入れたものを強制発現させた鶏脂肪細胞でも再検証することができた。 ・in vivo:骨格筋PPARβmRNA発現は絶食48時間までほぼ直線的に増加した。これは、脂肪酸の分解にPPARβ/δが関与しているとの哺乳動物での報告と一致していた。しかし、初生ヒナの腹腔内にPPARγアゴニストとPPARβアゴニストを同時に1回投与すると、4週齢時の腹腔内脂肪重量が有意に増加し、脂肪組織における鶏PPARβの機能は哺乳動物とは異なっていた。すなわち、脂肪蓄積におけるPPARβの機能は、鶏と哺乳動物で異なる可能性が示唆された。 (2)PPARγ誘導性因子の検索 In vitro脂肪細胞において、PPAR活性化状態で誘導される遺伝子発現をDNAマイクロアレイで検討した。脂質代謝関連などをはじめ、unknownの因子も数多くup regulationされ、今後詳細な検討が必要である。 (3)PPARを利用した効率的な高品質食肉生産 初生ヒナの腹腔内にTroglitazoneを10mg一回投与すると、出荷時の可食筋肉重量には影響しないものの、腹腔内脂肪重量と後期の飼料摂取量が減少し、飼料効率が増加した。よって、PPARの活性化は、効率的食肉生産に有効な手段であることが実証された。
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