研究課題
1.熱帯泥炭酸性湿地帯(タイ南部)に設定した地点(9地点)において湿地水、そこから流出する河川水中の溶存有機物量を通年経時的に測定した。設定した地点では、同時に年間を通じて気象条件(降雨量、気温等)及び河川流量の測定を行っている。タイ南部湿地及び北海道美唄湿地で採取した試料水から溶存有機物を単離し、その成分及び成分の化学構造・物理化学的性状について詳細な分析を行った。また湖沼及び河川底堆積物を採取して有機物を単離し、同様な分析を行っている。2.熱帯泥炭湿地においてコア・サンプラーを用いて2m深までの泥炭試料を採取し、泥炭試料中の有機物の組成分析及び化学構造分析を実施した。また熱帯アジア地域ばかりでなく国内の美唄泥炭湿原で採取した泥炭試料についても同様に分析した。3.土壌有機物、河川水中の溶存及び懸濁物質に付着する有機物について、植生環境及び流域環境におけるその動態の解析を継続した。本研究においてはオンサイトで実施しなければならない項目については、携帯型水質分析装置で行うとともに、試料を持ち帰って詳細に検討している。4.上述の湿地水から単離した水可溶有機物の主成分は微生物により著しく変性したリグニンであることを明らかにしたが、この有機物を超臨界水条件下での処理を実施した。予備的な結果であるが、超臨界水反応液中に炭化水素系の化合物の存在を確認した。5.中国北西部に広がる沙漠地帯(寧夏回教自治区)において、沙漠緑化のための前段として実施されている流動沙丘の固定化のためのムギワラを用いた方格沙障法(Checkerboard technique)の効果について検討した。その結果、ムギワラから溶出した微生物変性リグニンのキレート作用によって砂粒子が団粒化していることを明らかにした。
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