研究分担者 |
山縣 一夫 筑波大学, 応用生物化学系, 講師 (10361312)
柏原 真一 筑波大学, 応用生物化学系, 助教授 (00254318)
柳澤 純 筑波大学, 応用生物化学系, 教授 (50301114)
高橋 智 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (50271896)
中西 友子 筑波大学, 応用生物化学系, 助手 (10344863)
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研究概要 |
マウスを中心とした雄性配偶子の「なりたち」と「はたらき」に関して研究を行い,以下のような成果を得た。 (1)精細胞の細胞質に局在するポリAポリメラーゼTPAPの機能に関する解析を行い,TPAPはCPSF160と,またCPSF160はCPEB2とそれぞれ相互作用していることが明らかになった。また,TPAPが制御するTAF10の特異的な核輸送システムを調べ,TAF10にKIF2AとPABP1が結合していることも見いだされた。特に,KIF2AのmRNAはTPAP欠損マウスでポリA鎖伸長が不完全であり,タンパク質量も激減していたことから,TPAPがKIF2Aの翻訳を制御することによってTAF10核移行に関与していることが示唆された。 (2)精子の卵丘細胞層通過で機能するPH20欠損マウスの解析で示唆された新規ヒアルロン酸分解酵素を精子から精製し,その分子がPH20と約60%の相同性を有するHya15であることを明確にした。また,ADAM1aとADAM1bの局在と前駆体のプロセシング,および機能について調べ,ADAM1aは精細胞の粗面小胞体だけに存在しており,ADAM2やADAM3の分泌に関与している可能性が見いだされた。ADAM1aは精巣上体精子には存在しないため,子宮からの精子離脱に関与する分子群の機能制御を精子形成または成熟過程で行っている可能性が見いだされた。 (3)卵子活性化と初期胚発生に関与する精子由来のタンパク質の検索を行い,精子赤道部に存在するPLCζのmRNAを未受精卵に注入すると,約6時間後に雌性前核形成が認められた。また,PLCζmRNAを半数体球状精細胞とともに未受精卵へ注入することによって,産仔が正常に誕生することも確認した。
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