研究課題/領域番号 |
15208034
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
北川 泰雄 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (50101168)
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研究分担者 |
鳥居 修平 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (60115607)
鳥山 和宏 あいち小児保健医療センター, 医長
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キーワード | 間葉系幹細胞 / 脂肪組織 / 低血清培養 / 成体幹細胞保育因子 / ラミニン / 形成外科 |
研究概要 |
幹細胞が発見されて、組織移植に依存してきた移植外科術は大きく変貌しようとしている。しかし、骨髄液中の間葉系幹細胞含量は微量であり、組織再建に必要となる間葉系幹細胞を準備するには大量の骨髄液の採取が必要であり、患者に大きな負担を与える。我々は、脂肪細胞集団を天井培養することによって間葉系幹細胞を得る「天井培養」と称する方法を開発して特許出願した。本研究ではこの成果を発展させて、より効率的で簡便な方法を開発すると共に、皮下間質などの脂肪以外の末梢組織から間葉系幹細胞を取得する方法の開発をめざした。 本年度の本研究の成果は、脂肪より採取した分離した幹細胞をマウスに移植し、軟骨、骨、脂肪組織を作ることを確認し、間葉系幹細胞が本質的に旺盛な増殖能力を持つ細胞集団であることを確認した。そして多様な増殖因子を含んである血清は多方向への幹細胞の分化を促進するために、幹細胞を幹細胞として増殖させるためには害毒であり、高血清培地では不特定に分化した細胞集団が増殖するものの、幹細胞の含量が次第に低下することを発見した。この成果を「低血清培養で選択的に増殖する動物組織遍在性の分化多能性細胞」として特許出願した。そして、このような幹細胞の暴走を抑えるために機能している「成体幹細胞保育因子」なる概念を提唱し、末梢組織の細胞外マトリックスに多量に含まれているラミニンの構成鎖であるα4鎖G領域が保育因子として機能していることをしめす実験結果を蓄積した。これらの成果はがんなどの再建手術を行う形成外科手術にとって、今後有力な治療法への足がかりとなりうる。
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