研究課題
基盤研究(A)
急展開している幹細胞学は、多分化能を持つ体性幹細胞を体内随所に発見して、「胚性幹細胞だけが重要である」としてきた古典発生学のドグマを破壊し続けている。増殖しないと信じられてきた中枢神経系に幹細胞が発見され、骨髄液に血球系、間葉系や内皮系だけでなく、神経系にさえ分化する幹細胞が発見されて、再生医療という新領域が開花している。このような体性幹細胞の最たる例は、体内随所の脂肪組織に多分化性幹細胞が大量に存在するという最近の発見である。その量は脂肪組織細胞の20%にも及ぶとも言われている。我々は、脂肪細胞集団を天井培養することによって間葉系幹細胞を得る方法を開発して特許出願した。本研究では、この成果を発展させてより効率的で簡便な体性幹細胞の分離・増殖法を開発し、再生医療を幹細胞工学の側面から支援することを目指した。初年度には、脂肪より採取・分離した体性脈管性分に含まれる自家幹細胞が本質的に旺盛な増殖能力を持つ細胞集団であることを発見し、多様な増殖因子を含む血清を高濃度で培養系に加えることは、幹細胞の多方向への分化を促進するために返って不利であり、高血清培地では不特定に分化した細胞集団が年齢依存的に増殖するものの幹細胞の含量が次第に低下することを発見した。この成果を「低血清培養で選択的に増殖する動物組織遍在性の分化多能性細胞」として特許出願し、臨床応用を想定して培養系を完全にヒト化することにも成功した。次年度以降には、このように体内随所に存在する体性幹細胞が正常な体内では暴走せず、組織再生が必要な事態でのみ増殖・分化する機構を支えていると想定される「体性幹細胞保育因子(機構)」を提出して実体解明に努めた。未だ分子レベルでの解明には至っていないが、脂肪組織に内在する体性幹細胞が端末分化を遂げた成熟脂肪細胞と強く相互作用しており、その影響下で正常時には増殖と分化が抑制されていることを明らかにした。
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日本形成外科学会誌 (印刷中)
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Differentiation 73・2-3
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Journal of Japanese Society for Plastic and Reconstructive Surgery. (in press)