研究概要 |
GGAおよびGGAと構造的に類似するTom1ファミリーに関して以下のことを明らかにした。 1.GGAのGATドメインに低分子量GTPaseのARFが結合することを明らかにした。さらに、突然変異体を用いた解析から、ARFはGATドメインのN末端側のサブドメイン(N-GATサブドメイン)に結合する可能性を示した。 2.GGA1のGATドメインとARFの複合体のX線結晶構造解析を行ない、GATドメインとARFの結合様式を明らかにし、突然変異体を用いた解析と矛盾しないことを示した。 3.GGAのGATドメインにユビキチンが結合し、GGA自体がユビキチン化されることを発見した。また、ユビキチンの結合がGGAのユビキチン化に必須であることを示した。 4.突然変異体を用いた解析とX線結晶構造解析のデータを考えあわせることにより、ユビキチンはGATドメインのC末端側のサブドメイン(C-GATサブドメイン)に結合する可能性を示した。 5.Tom1やTom1L1のGATドメインにも,ユビキチンが結合することを証明した。 6.Tom1のGATドメインには,別のユビキチン結合性タンパク質Tollipが結合することを発見した。Tollipはエンドソームに局在し,そこにTom1をリクルートするとともに,ユビキチン化タンパク質もリクルートすることを証明した。これらの相互作用によりユビキチン化タンパク質の細胞内輸送やリソソームでの分解は複雑な調節を受ける可能性を示した。 7.GGA3-GATドメイン,およびTom1-GATドメインとUbの複合体のX線結晶構造解析を行ない,生化学的データおよびNMRによる構造データと比較することにより,GATドメインには2ケ所のUb結合部位が存在することが明らかにした。この結合様式から,GATドメインによるUb化タンパク質の細胞内輸送やリソソームでの分解の調節に関するモデルを提唱した。
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