研究課題/領域番号 |
15209006
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
橋田 充 京都大学, 薬学研究科, 教授 (20135594)
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研究分担者 |
山下 富義 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (30243041)
西川 元也 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (40273437)
川上 茂 京都大学, 薬学研究科, 助手 (20322307)
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キーワード | ドラッグデリバリーシステム / プラスミドDNA / 遺伝子デリバリー / NO / 遺伝子治療 / 非ウイルスベクター / 活性酸素 / NFκB |
研究概要 |
難治性疾患治療を目的に遺伝子治療に関する研究が活発に進められているものの、遺伝子導入効率の低さから十分な治療効果は得られていない。遺伝子療法の臨床応用を達成するには、最大の障壁過程と考えられる血管透過性の改善に加え、遺伝子導入時の活性酸素産生による副作用や遺伝子発現への影響を改善する必要がある。平成16年度までに、血管透過性の改善を目的に、一酸化窒素(NO)デリバリーナノキャリアとしてBSAを担体とするPEG-poly SNO-BSAキャリアを開発し、有意な血管拡張効果を挙げることができた。そこで本年度は、活性酸素消去効果を有する新規NOキャリアとして、活性酸素消去酵素SODに、薬理効果持続を目的として血中滞留性を付与したNOキャリア、PEG-poly SNO-SODを合成した。新規NOデリバリーシステムの有効性を確認するため、肝臓虚血再灌流惹起マウスに対してPEG-poly SNO-SODを静脈内投与したところ、肝障害の指標となる血清中ALT濃度の有意な抑制および、活性酸素障害の指標となる核内活性化NFκB量の有意な減少が認められた。さらに、精密な体内動態制御に基づく高い薬理効果および工業生産する際の取り扱いの簡便さには、粒子径の均一な新規キャリアが必要と考えられ、アミノ酸のみから構成されるリジンデンドリマーを化学合成した。第6世代のデンドリマーの物性を評価したところ、平均粒子径は約5nmで、サイズのばらつきがほとんどなく、表面電荷の指標となるゼータ電位は+20mVであった。また、マウスへの静脈内投与後の体内動態を解析したところ、肝臓への高い集積が観察され、肝臓に対するNOデリバリーキャリアとしての有用性が示唆された。 以上、体内動態の制御に加え、血管拡張効果および活性酸素消去による安全性の向上を兼ね備えたNOデリバリーシステムの確立に成功した。
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