研究概要 |
'99年度国民医療費のうち脳血管疾患だけでもその医療は2.0兆円で,総医療費の8.3%に及んでいる。また,'98年度国民生活基礎調査によると,寝たきりを含む要介護の原因の第1位は脳血管疾患で,36.4万人(全体の29.3%)であり,訪問看護利用者の35%が脳血管疾患(第1位)である(99年度訪問看護統計調査)。IT技術を用いて,このような高齢者を自宅に居ながらも,通院・訪問看護を受けているような状況に置くことで,高齢者に活気がみなぎり,生活習慣病を持ちながらも,地域の活動ができ,『元気に老いる』ことができるため,医療費の低減が図れる。 本研究では,在宅医療を支援するe-Hospitalシステムを構築する。その際,医療情報の保管・伝送時には電子透かし技術を用いて著作権保証やセキュリティ,プライバシーの確保し,受療者が地域で活動しながら健康管理できる,地域一体型の在宅医療リアルタイム支援システムの構築を行う。すなわち,受療者が在宅のまま,本人やその家族,訪問看護・介護者により,「かかりつけ医」のいる個人病院と在宅受療者の健康情報伝送や,カメラを利用した「かかりつけ医」との疑似対面相談,さらにその在宅受療者の個人病院内に保管されている診断情報や画像とも自動連結し,「かかりつけ医」が基幹病院内の医者とも相談できる安価な地域一体型e-Hospitalシステムを構築する。 本年度は昨年度の引き続き,電子透かし技術の充実を図り,個人病院基幹病院の実験システムに組み込んだ。また,現在,対象者宅,個人病院,基幹病院の実験システム構築と対象者宅-個人病院間,個人病院-基幹病院システム問での情報伝送実験を行った。さらに,対象者宅-個人病院-基幹病院のシステム間や個人病院-個人病院システム間の統合的な連結を昨年から引き続き行い,実験システムから,より実践システムへの移行を行った。
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