研究課題
新たに構築された血管壁細胞の混合培養系でのトランスクリプトーム解析をすすめ、動脈硬化発症をひきおこす内皮細胞の活性化機序の解明を進め、治療法の開発を進めた。混合培養系では初代培養細胞が、活性化機序を比較的in vivoに近い形で再現できることを確認している。そこでHUVECやHCASMCでのシステムに加え、マウスでの細胞培養系の樹立を進め安定的なマウス血管内皮細胞培養系を樹立した。このシステムで、下記の内皮細胞活性化機序を解析した。1)流れを加えるとNRF2の安定化がおこり転写制御が変化することを発見し、NRF2ノックアウトマウスではこの活性化がおこらないことを証明した。2)炎症性サイトカイン刺激ではNFkBとGATAが重要な役割をはたしていること、新規のGATA経路阻害剤が炎症やそれにともなう貧血治療に有効なことを証明した。クロマチン免沈からVCAM1の誘導にはクロマチン構造の改変が重要であることが示唆された。3)血管新生(VEGF)や凝固(トロンビン)刺激での内皮細胞活性化においてはトランスクリプトーム解析からNFATc経路が重要でその自己抑制シグナルとしてDSCR1があることを発見、adenoDSCR1でガン血管新生などが抑制されるという予想外の発見につながった。4)コレステロール合成阻害剤で、炎症、凝固、血管収縮を抑制する転写変動がおこる。そのトランスクリプトーム解析からラフトを介するRac1の機能抑制が考えられた。上記の結果から内皮細胞の活性化においてコレステロールなどの脂質変動はラフトからのシグナル伝達を活発化させ、転写調節の変動を進めている可能性が発見された。適切な流れが加わると、NRF2の活性化などでこのシグナル伝達活性化を抑制する可能性がある。今後さらにこれらのシグナル経路の解明、ときにVCAM1などの誘導につながるクロマチン変動の解析が、新規治療法を開発する上での課題となるであろう。
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