研究課題/領域番号 |
15209031
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
祖父江 元 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20148315)
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研究分担者 |
道勇 学 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (90293703)
犬飼 晃 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (30314016)
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キーワード | 神経変性 / 運動ニューロン / ポリグルタミン / アンドロゲン受容体 / ヒストン / 熱ショックタンパク質 / geranylgeranylaceone |
研究概要 |
異常延長ポリグルタミン鎖を病因とする神経変性疾患(ポリグルタミン病)のひとつである球脊髄性筋萎縮症(SBMA)では、原因タンパク質である変異アンドロゲン受容体(AR)がテストステロンの存在下で神経細胞の核内に蓄積し、CBPなどの転写関連因子の機能を阻害して転写障害をもたらすことが、神経細胞の機能障害の主因であると考えられている。 転写障害を標的とした治療として、ヒストン脱アセチル化阻害剤である酪酸ナトリウムの水溶液を経口投与したところ、SBMAモデルマウスの運動機能および病理所見の改善が認められた。しかし、酪酸ナトリウムの効果は用量依存性であり、高濃度では毒性が認められ、そのtherapeutic windowが極めて狭いことが示された。酪酸ナトリウムの投与によりヒストンH3のアセチル化亢進が認められたが、変異ARの核内集積には変化は認められず、その治療効果は転写機能の改善に基づくものと考えられた。 熱ショックタンパク質Hsp70の発現誘導作用を有するgeranylgeranylaceone(GGA)をSBMAの培養細胞に投与したところ、変異ARの核内集積が抑制され、細胞死の抑制がみられた。GGAをSBMAマウスに経口投与したところ、培養細胞モデル同様に変異ARの核内集積が抑制され、運動機能や寿命が改善された。有効濃度におけるGGAの毒性はみられなかった。 SBMA患者剖検組織の病理学的検討を行ったところ、変異ARは主として核内にびまん性に分布し、その程度はCAGのリピート数に相関していた。また変異ARのびまん性の核内集積は、従来ポリグルタミン病の病理学的特徴とされてきた核内封入体に比べ、より多くの組織で認められ、その発現頻度も封入体より高いことが示された。すなわち、変異タンパク質のびまん性核内集積が病態に深く関与していることが示唆された。
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