研究課題
基盤研究(A)
球脊髄性筋萎縮症(SBMA)は成人男性に発症する遺伝性運動ニューロン疾患であり、アンドロゲン受容体(AR)遺伝子のCAGリピートの異常延長を原因とする。SBMA患者脊髄の病理学的解析では変異ARの核内びまん性集積の程度がCAGのリピート数に相関していることが明らかとなり、神経変性への深い関与が示唆された。97CAGを有する全長ヒトARを導入したトランスジェニックマウスでは、神経症状が雌に比べ雄において重篤で、雄Tgに去勢あるいはLHRHアナログの投与を行ったところ血清テストステロン濃度の低下に伴い変異ARの核内移行が抑制され、運動障害および病理所見は著しく改善した。SBMA患者に対するLHRHアナログの二重盲験臨床試験が進行中である。分子シャペロンである熱ショックタンパク質(HSP)の高発現マウスとSBMAモデルマウスを交配すると、Hsp70高発現により変異ARの核内蓄積が抑制され、運動機能や寿命などの表現型も改善した。Hsp70は変異ARの凝集を抑制するとともにその分解を促進した。Hsp70の発現誘導作用を有するgeranylgeranylaceoneの培養細胞モデルへの投与によっても変異ARの核内集積抑制がみられ、細胞死が抑制された。SBMAマウスにおいても、GGAの経口投与によって変異ARの集積が抑制され、神経細胞障害が軽減された。ヒストン脱アセチル化阻害剤である酪酸ナトリウムの水溶液を経口投与したところ、SBMAモデルマウスにおけるヒストンのアセチル化が改善し、運動機能および病理所見の改善が認められた。しかし、そのtherapeutic windowは極めて狭いことが示された。以上より、SBMAの病態に基づく分子標的治療として、変異ARの核内集積の抑制、分解促進、転写機能の改善が有望な戦略となると考えられる。
すべて 2005 2004 2003
すべて 雑誌論文 (58件) 産業財産権 (1件)
Ann Neurol 57
ページ: 236-251
Brain 128
ページ: 659-670
J Neurol Neurosurg Psychiatry 75
ページ: 103-109
Nature Med 10
ページ: 123-124
Neurology 62
ページ: 671
Neuron 41
ページ: 677-679
J Neurochem 89
ページ: 64-72
ページ: 830-831
Hum Mol Genet 13
ページ: 1183-1192
J Mol Med 82
ページ: 298-307
Neurology 63
ページ: 129-138
Neuroscience 129
ページ: 109-117
J Biol Chem 279
ページ: 51376-51385
Dev Biol 275
ページ: 124-142
Brain 126(1)
ページ: 134-151
Acta Neuropathol 105
ページ: 341-350
J Neurol Neurosurg Psychiatry 74(4)
ページ: 423-426
J Neurosci 23(6)
ページ: 2203-2211
J Neurol Neurosurg Psychiatry, 74(5)
ページ: 642-645
ページ: 419-422
Ann Neurol 54
ページ: 19-29
Nature Medicine 9(6)
ページ: 768-773
Am J Pathol 163(2)
ページ: 609-619
Neuropathol Appl Neurobiology 29
ページ: 280-287
J Biol Chem 278(27)
ページ: 25143-25150
J Biol Chem 278(31)
ページ: 29106-29114
Neurochem Res 28
ページ: 839-846
Cytogenet Genome Res 100
ページ: 243-251
Brain 127
ページ: 203-211
Brain 126
J Neurol Neurosurg Psychiatry 74(5)