研究概要 |
1.ASK1による角化細胞からの抗菌ペプチド(β-defensin 1-3,CAP18)および、MIP3-α産生の細胞内制御機構の解明 アデノウイルスベクターを用いて活性型ASK1を培養角化細胞に遺伝子導入し、抗菌ペプチド(β-defensin 1-3,CAP18)、MIP3-αの産生をELISA法、Western blot法、Ribonuclease protection assay (RPA)法、リアルタイムPCR法にて検討した。その結果、ASK1導入により角化細胞はβ-defensin 1-3,CAP18,MIP3-αを誘導することが明らかになった。さらに、ASK1の下流にあるとされているJNK,p38MAPKのシグナル伝達経路の阻害剤を用いて誘導の阻害を試みた。その結果、p38の阻害剤でこれらの誘導が抑制されることが明らかになった。 2.角化細胞が産生する抗菌ペプチドの細菌に対する作用機序の解明 (1)抗菌活性の検討:β-defensin 1-3,およびCAP18の合成ペプチドを作製し、種々の濃度の合成ペプチドと黄色ブ菌を2時間作用後、寒天培地にまき、コロニー数をカウントした。その結果、これらの抗菌ペプチドは黄色ブドウ球菌に対して、抗菌活性を有し、その抗菌活性は、CAP18、hBD-3、hBD-2、hBD-1の順であった。 (2)角化細胞における抗菌ペプチド発現の検討:正常ヒト角化細胞をconfluentまで培養し、菌を68℃、1時間処理した加熱死菌を10^8/mlになるよう培養液に添加し、種々の時間接触させた。その後、細胞からRNAを抽出しReal-Time PCR法で各々の抗菌ペプチドmRNAの発現を検討した。その結果、黄色ブドウ球菌の接触によりhBD-2,CAP18が誘導されることが明らかになった。 3.セルフリー蛋白合成システムを用いたタンパク合成 セルフリー蛋白合成システムを用いて、ヒトのASK1合成を試みた。その結果、SDS-PAGEにて、ASK1のバンドを検出することができ、ASK1の産生を確認することができた。
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