研究分担者 |
中村 和彦 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (80263911)
三辺 義雄 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (60181947)
武井 使教 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (80206937)
岩田 泰秀 浜松医科大学, 医学部, 助手 (10285025)
佐藤 康二 浜松医科大学, 医学部, 教授 (80235340)
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研究概要 |
1.統合失調症モデルの開発 (1)X線照射モデル: 成熟ラットの脳に20Gyを単回照射したところ,明らかな形態学的変化を伴わずに,神経幹細胞の新生が抑制された。基礎的な運動能力には異常はなかったが,社会的行動が減少した。また,先行刺激抑制試験(PPI)も障害された。さらに,ドパミン作動薬(メタンフェタミン)とNMDA阻害薬(MK-801)により誘発される行動量が増大した。30Gyを5Gyずつ6回に分けて照射した場合にも類似の所見が得られた。これらから,脳への放射線照射により統合失調症に対応する症状を小動物で再現できることが示唆された。 (2)LIFRノックアウト・マウス(LIFR, leukemia inhibitory factor receptor): メタンフェタミンに対する反応性の増大がみられた。しかし,MK-801に対してはそうではなかった。PPIにも変化がなかった。社会的行動には変化が認められた。LIFRノックアウト・マウスは統合失調モデルとしての特性をすべては備えていないが,LIFRはドパミン活動を調整していることが示唆された。 2.統合失調症の血液マーカーの検索 末梢血リンパ球における神経幹細胞の機能修飾・分化にあずかる分子のmRNA発現を探索した。標的分子は,VLDLR (very low density lipoprotein receptor), ApoER2 (apolipoprotein E receptor type 2), CNTF (ciliary neurotrophic factor), LIF (leukemia inhibitory factor), LIFR (LIF receptor)とした。CNTF, LIF, LIFRには変化がなかった。しかし,VLDLR mRNAは統合失調症で,また,ApoER2 mRNAは感情障害で有意に低下していた。このことから,末梢血リンパ球中のVLDLR mRNAは統合失調症の診断マーカーになり得ることが示唆された。
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