研究概要 |
1.拡張型心筋症の病態の解明 左室補助人工心臓装着時に心筋組織サンプルを採取し、心筋構造蛋白(titin, desmin等)細胞外基質(laminin, alb7integrin等)の発現を検討した。 拡張型心筋症は、正常心と比較して、titin, desminの発現が低く、左室補助人工心臓を装着し、左室負荷を軽減させることにより、心筋構造蛋白であるtitin, desminの発現が向上することが確認された。 2.拡張型心筋症の病態に適応した心筋再生因子の検討 拡張型心筋症ハムスターの27週齢時に、肝細胞増殖因子(HGF)をHVJ-liposome法で遺伝子導入した。また、HGFの遺伝子導入と同時に、筋芽細胞を移植した。心臓超音波検査にて、心機能を測定するとともに、a-dystroglycan, b-dystroglycan, a-sarcoglycan, b-sarcoglycanの免疫染色をおこなった。HGFを遺伝子導入した群で、コントロール群と比較して、有意に心収縮能が向上した。また、HGFと筋芽細胞を同時に投与することにより、心機能向上効果が増幅した。a-dystroglycan, b-dystroglycan, a-sarcoglycan, b-sarcoglycanの免疫染色を行ったところ、HGF遺伝子導入した群で、コントロール群と比較して、細胞膜上に濃染性を示した。 電子顕微鏡で、ミトコンドリアの構造を検討したところ、HGF遺伝子導入群において、大小同じ大きさでサルコメアにそってきれいに配列しクリスタ構造も密のまま保たれていた。 3.拡張型心筋症ハムスターへの筋芽細胞シート移植 拡張型心筋症ハムスターの27週齢時に、筋芽細胞シートを2層化して移植し、経時的に心機能を測定し、心筋構造蛋白の免疫染色を行った。筋芽細胞シートを移植した群は、従来の針による細胞移植法と比較して、有意な心機能向上効果を認め、左室壁の肥厚化を認めた。また、dystroglycan, a,d-sarcloglycanの濃染性を認めた。また、筋芽細胞シート移植群は他群と比較して、生命予後は延長した。
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