研究分担者 |
那須 保友 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (20237572)
中山 睿一 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (60180428)
山田 雅夫 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40166731)
藤原 俊義 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教授 (00304303)
江原 伸 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (70379741)
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研究概要 |
本研究は個々の担癌患者における腫瘍免疫学的プロフィールに基づいて抗腫瘍免疫能の賦活化を企図するテーラーメード型遺伝子治療を開発するための基盤的研究である。前立腺癌を対象に、遺伝子治療臨床研究を実施し、個々の症例における腫瘍免疫学的なプロフィールを多面的に解析し、より効果的な抗腫瘍免疫能の誘導を企図するテーラーメード型遺伝子治療を開発するための基盤的エビデンスを集積することを目標とし関連する一連の基礎ならびに臨床研究を展開し以下の成果を得た。 1)HSV-tk遺伝子治療臨床研究の実施と免疫学的プロフィールの解析 内分泌療法中に再燃してきた臨床的に遠隔転移を認めない局所再燃前立腺癌患者8名のべ9名を対象として実施し、安全性および治療効果を確認した。さらに治療前後における、個々の患者での種々の免疫学的パラメータの変化を解析した。血清中サイトカインレベル(IL-6,IL-8,IL-10,TNF-α,IFN-γ)においては明らかな変化は認められなかった。末梢血における活性化Tリンパ球の指標であるCD8+/HLA-DR+の比率がベクター投与後上昇傾向を示した。細胞性免疫の活性化を示唆する所見であり、今後IL-12遺伝子治療臨床研究開始によって得られる免疫学的パラメータの結果と合わせて解析しテーラーメード型遺伝子治療を開発するための基盤的エビデンスになるものと判断された。 2)免疫療法の標的となる腫瘍抗原の発現解析と免疫応答能の検討 癌特異抗原(NY-ESO-1,SSX)の前立腺癌組織における発現について検討を加え、腫瘍抗原の発現に対応した特異的な宿主の免疫応答をあわせて解析しこれらの腫瘍抗原が免疫療法の標的となりうることを明らかにした。 3)免疫療法の実施 ペプチドをパルスした樹状細胞療法・NY-ESO-1蛋白を用いたワクチン療法を実施しその安全性・臨床的活性を確認するとともに少数例ではあるが特異的な細胞性免疫反応の誘導を確認した。 4)IL-12遺伝子治療における発展的基盤研究 ベイラー医科大学との共同研究としてIL-12を用いた免疫遺伝子治療のadjuvant, neo-adjuvant settingでの多面的応用の可能性を明らかにした。
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