研究課題/領域番号 |
15209053
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤井 信吾 京都大学, 医学研究科, 教授 (30135579)
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研究分担者 |
高倉 賢二 京都大学, 医学研究科, 助教授 (10221350)
富樫 かおり 京都大学, 医学研究科, 助教授 (90135484)
藤田 潤 京都大学, 医学研究科, 教授 (50173430)
二階堂 敏雄 信州大学, 医学研究科, 助教授 (50180568)
刈谷 方俊 京都大学, 医学研究科, 講師 (90243013)
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キーワード | 子宮筋腫 / 不死化 / 性ステロイド受容体 / p53 / アポトーシス / 酸化ストレス / 肥満細胞 / タイプIIIコラーゲン |
研究概要 |
子宮平滑筋および子宮筋腫培養細胞にhTERT遺伝子を導入しテロメラーゼ活性化を誘導したところ、子宮平滑筋細胞は不死化し、細胞株が得られた。子宮筋腫細胞は継代中で、不死化を確認している。また通常の初代培養では短時間で消失する性ステロイド受容体の発現が、hTERT導入細胞では維持された。さらに性ステロイドを作用させると増殖やTGF-βの産生に影響したことから、維持された受容体は機能性と考えられ、性ステロイドの作用解析に本細胞が有用であると考えられた。 月経は子宮収縮に伴い虚血状態による低酸素ストレスと血流回復による酸化ストレスを子宮局所に生じると考えられる。実際に子宮平滑筋組織ではp53陽性細胞、およびTUNEL陽性細胞が月経周期の中では月経中、あるいは卵胞期にのみ発現していたことから、月経が細胞障害を来している可能性が示唆された。さらに子宮筋腫がこの月経時のストレスを繰り返し受けながら発生増大することから同腫瘍細胞は酸化ストレスに強い性格を有するという仮説を考えている。そこで子宮の筋腫細胞、平滑筋細胞、頸部線維芽細胞と皮膚線維芽細胞培養において、活性酸素のひとつであるH2O2を負荷して酸化ストレスに対する抵抗性を検討したところ皮膚線維芽細胞が他の細胞に比べて有意に傷害を受けやすく、子宮を構成する間葉系細胞は酸化ストレスにより抵抗性であることが示唆された。中でも子宮筋腫細胞は、H2O2による細胞障害を受けにくく酸化ストレスに抵抗性が高い傾向が示された。 子宮筋腫の病態のひとつとして線維化亢進を認めることから、子宮に存在する肥満細胞の線維化過程への関与の有無を明らかにするために肥満細胞株と子宮筋腫細胞との共培養時のtype IIIコラーゲンの産生を培養上清中のprocollagen type3 peptideを指標として測定した。単独培養時に比して共培養時に産生亢進を認め、肥満細胞の子宮筋腫における線維化亢進という病態への関与が示唆された。
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