研究課題/領域番号 |
15209056
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田野 保雄 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (80093433)
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研究分担者 |
大路 正人 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90252650)
八木 哲也 大阪大学, 工学研究科, 教授 (50183976)
不二門 尚 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50243233)
生野 恭司 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (50294096)
瓶井 資弘 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40281125)
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キーワード | 人工視覚 / 視神経刺激 / 針型電極 / 誘発電位 |
研究概要 |
研究目的:人工視覚における刺激方式には大脳皮質刺激、網膜上、下からの網膜刺激、我々が考案した強膜脈絡膜間、強膜内からの網膜刺激など、様々な方式が提案されている。この度我々は、視神経乳頭に刺入設置した電極により視神経に電流刺激を加えることで人工視覚を誘発することが可能か否かを家兎眼を用いて検討した。方法:刺激電極として直径200mの針型白金電極を用いた。強膜創作成後、電極を眼内に挿入し、顕微鏡下にて先端部を視神経内に刺入した。電流刺激には単相および複相型パルス刺激を用いた。電流刺激時に、後頭部視覚野上に設置したネジ型埋め込み電極より誘発電位を記録した。結果:針型白金電極を安全に視神経乳頭内に設置することができた。電流刺激により、視覚野上から誘発電位を測定記録することが可能であった。刺激電流の閾値は単相および複相型パルス刺激でそれぞれ10±0Aおよび20±8.2A(0.5ms)であった(n=4)。電流刺激による誘発電位は視覚誘発電位の波形に類似しており、その潜時10.9±3.2msおよび11.9±2.4msは視覚誘発電位の潜時29.5±4.2msに比較して有意に短いものであった(P<.05)。組織学的に、電気刺激によると思われる組織障害は認めなかった。考察:視神経刺激型電極からの電流刺激により視覚誘発電位と同形の波形が得られたことより、進行した網脈絡膜疾患の患者においても視神経刺激により、誘発電位が得られる可能性がある。他の刺激方法と比較すると、視野については、網膜型の電極が視角10°程度なのに対し、視神経刺激型の場合、ほぼ全視野を得られる可能性があり、また、網膜型電極ではその設置、留置時の網膜剥離などの合併症、また大脳皮質刺激型電極ではその設置時の脳外科的手術における合併症などを考慮する必要があるが、我々の方法ではそれらの可能性は小さい。以上より、視神経刺激型電極による刺激方法は有用であると考えられた。
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