研究課題/領域番号 |
15209060
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
永井 教之 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (90085770)
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研究分担者 |
長塚 仁 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (70237535)
山本 敏男 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30107776)
長岡 紀幸 岡山大学, 歯学部, 教務員 (70304326)
井上 正久 徳島文理大学, 薬学部, 助手 (20223274)
玉村 亮 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (00403494)
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キーワード | 歯胚 / Notch / Jagged / Hes / Math / In situ hybridization / 細胞分化 / 遺伝子 |
研究概要 |
Notchは幹細胞の増殖・分化に関与し、多くの臓器の発生における重要な因子の一つである。歯胚においてもその遺伝子発現が認められ、エナメル芽細胞への分化に関与することが報告されている。 Notch蛋白は膜受容体であり、ligandと結合することによりNotch signaling pathwayを経て核内のターゲット遺伝子bHLHを活性化するという。 今回我々は、歯胚発生におけるNotch signaling pathwayの機能解析を行うため、マウス臼歯でのNotch1,ligandであるJagged2,ターゲット遺伝子であるHes5,また、Hesによりinhibitされる分化因子Math1のmRNAの発現をin situ hybridizationにより検索した。 胎生13日では、Notch1は上皮中央部のみに弱い発現を認め、歯原性間葉細胞に接する基底細胞には発現は認められなかった。Hes5も同様であった。Jagged2,Math1の発現は上皮、間葉細胞ともにみられなかった。生後1日では、Notch1は中間層に強く発現しているが、前エナメル芽細胞や前象牙芽細胞には発現は認められなかった。Jagged2とMath1の発現は咬頭部の象牙芽細胞に認められた。生後3日では、Notch1の発現は咬頭頂部のエナメル芽細胞と、咬頭頂以外の象牙芽細胞に認められ、Jagged2とMath1の発現は咬頭部のエナメル芽細胞とすべての象牙芽細胞に認められた。生後5日では、Notch1はエナメル芽細胞、象牙芽細胞でも発現が消失したが、Jagged2とMath1は強く発現していた。HES5は生後のすべての段階において発現が認められなかったが、Math1は最も強く発現し、生後14日目まで強い発現が観察された。 以上のことからJagged2とMath1は歯胚の進んだ段階で、エナメル芽細胞や象牙芽細胞の分化の調整に関わっていると考えられた。Math1は、歯胚発生において細胞分化を誘導するNotch1シグナリングカスケードと密接に関与することが示された。生後段階でのエナメル芽細胞や象牙芽細胞の分化におけるNotch1の一時的な発現は、Notch1がシグナルを通しての細胞分化に特異的で短期間に機能することを示唆していると考えられた。
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