CGHアレイ法によるゲノム異常解析に基づく口腔癌の悪性度予測と治療標的分子の探索

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15209069
• 研究種目: 基盤研究(A)
• 研究機関: 東京医科歯科大学
• 研究代表者: 天笠 光雄 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (00014332)
• 研究分担者: 井本 逸勢 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (30258610) ; 鵜沢 成一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (30345285) ; 稲澤 譲治 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (30193551)
• キーワード: 口腔癌 / CGHアレイ / ゲノム / 分子標的

研究概要

(1)口腔癌及びその前癌病変の臨床検体と臨床・病理学的データの収集の推進 これまでの研究に引き続き、口腔癌及びその前癌病変の臨床検体と臨床・病理学的情報の収集ならびにこれらのデータベース化を進めた。また、口腔癌細胞株についてもさらに収集を行った。
(2)CGHアレイの作製とこれを用いた解析の検討 これまで作製を進めた実用レベルのアレイのうち、〓ゲノムワイドなコピー数異常のスクリーニング用アレイ(MCG Whole Genome Array-4500)ならびに〓癌関連遺伝子に特定したアレイ(MCG Cancer Array-800)を用いて、これまで解析の進んでいる食道扁平上皮癌を中心に、細胞株DNAならびに臨床検体よりマイクロダイセクションを用いて抽出したDNAについてCGHアレイ法による解析を行った。その結果、少量のDNAであってもアダプターPCR法を用いた不死化(無尽蔵化)を行い増幅することにより、充分な精度(1コピーレベル)と解像度でゲノムコピー数変化が検出できることを確認するとともに、従来型CGH法に比較してさらに詳細な欠失(特にホモ欠失)や増幅が検出できた。
(3)ゲノム異常の標的候補遺伝子の探索と解析 (2)で得られたコピー数異常を示す領域からは、口腔癌でも共通して異常の認められる遺伝子が同定されてきている。これらは新たな癌関連遺伝子候補として、コピー数異常と発現レベルを臨床病理学的データと比較して意義を検討するとともに、細胞株を用いた強制発現ならびにノックダウンによる生物学的機能の検討を進めている。

研究成果

• [文献書誌] Ogura I, Amagasa T, et al.: "Comparison of clinical characteristic and outcome of young and older patients with oral squamous cell carcinoma"Oral Med.Pathol.. 8. 21-26 (2003)
• [文献書誌] Miyamoto R, Uzawa N, Amagasa T, et al.: "Prognostic significance of cyclin D1 amplification and overexpression in oral squamous cell carcinomas"Oral oncology. 39. 610-618 (2003)
• [文献書誌] Salingcamboriboon R, Amagasa T, et al.: "Establishment of tendon-derived cell lines exhibiting pluripotent mesenchymal stem cell-like property"Experimental cell research. 287. 289-300 (2003)
• [文献書誌] Nakagawa T, Sibuya H, Amagasa T, et al.: "Neck node metastasis after successful brachtherapy for early stage tongue carcinoma"Radiotherapy and oncology. 68. 129-135 (2003)
• [文献書誌] Imoto I, Inazawa J, et al.: "Identification of ZASCI encoding a Kruppel-like zinc finger protein as a novel target for 3q26 amplification in esophageal squamous-cell carcinomas"Cancer Research. 63. 5691-5696 (2003)
• [文献書誌] Yasui K, Imoto I, Inazawa J, et al.: "Alteration of copy numbers of genes as a mechanism for acquitted resistance"Cancer Research. (印刷中). (2004)