研究課題/領域番号 |
15251002
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
新免 康 中央大学, 文学部, 教授 (10235781)
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研究分担者 |
藤山 正二郎 福岡県立大学, 人間社会学部, 教授 (30113244)
堀 直 甲南大学, 文学部, 教授 (80140391)
小松 久男 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (30138622)
岡 奈津子 アジア経済研究所, 地域研究センター, 研究員
吉田 世津子 四国学院大学, 社会学部, 専任講師 (70352086)
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キーワード | 中央アジア / ウイグル / 地域社会 / 民族アイデンティティ / カザフスタン / ウズベキスタン / 新疆 / イスラーム |
研究概要 |
平成15年度は、中国・新疆、ウズベキスタン、クルグズスタン、カザフスタンにおいて、来年度以降の実地調査のための地区の設定、研究協力者との協議や研究機関との連携などの準備作業を進めるとともに、関連文献、とくに在地文書資料の所在状況に関する情報の把握に努めた。また、すでに一部の研究分担者により以前関連する調査がなされたことのある中国・新疆およびカザフスタン・アルマトゥにおけるウイグル人社会においては、本調査に着手した。具体的には、以下のような作業に従事した。 第一に、中国・新疆においては、ホタン地区とアクス地区において、コミュニティにおける会合・結婚・伝統的職人業などについて、近年の経済発展にともなう変容を中心に検討を行うとともに、合わせて歴史的背景としての1930〜50年代の教育・文化状況に関しても調査を行った。第二に、カザフスタンのアルマトゥにおいては、聞き取りを中心とし、ウイグル人社会の現状、とくに近年進行しているコミュニティの組織化・統合化の実態について、新生カザフスタン国家に対するウイグル人の意識との関連を含め、調査を実施した。第三に、ウズベキスタン、クルグズスタンにおいては、フェルガナ盆地のウイグル人コミュニティに関する情報を入手し、その中で二つのカシュガル村を選び、予備調査を実施した。 以上より、ウイグル人社会は、中国領における著しい経済発展や漢族の進出、旧ソ連領独立国家におけるナショナリズムの高まりなどにより、変容の圧力に晒されていることが看取できた。また、旧ソ連領諸国のウイグル人社会には、それぞれ民族社会としての求心力に偏差が見られること、中国領新疆と旧ソ連領との間における往来・連絡関係が、後者のウイグル人コミュニティの形成やあり方、成員の共同意識・民族意識を規定する条件となっていること、などが明らかになりつつあるが、来年度以降の本格的な調査の課題としたい。
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