研究課題
科学研究費補助金による補助事業2年目である本年度の、主な研究実績は以下の通りである。1.イタリアヴェネチア東洋美術館所蔵日本書籍及び関連資料目録を作成し、日本の研究者及び公共施設、イタリアの日本文学研究者に配布した。なおこのヴェネチア東洋美術館所蔵日本書籍及び関連資料目録は、東洋美術館側の要請により、共に調査を行ったヴェネチア大学専任講師のラウラ・モレッティ氏がイタリア語訳をし、東洋美術館に利用されることとなっている。また、ナポリ国立図書館及びナポリ東洋大学所蔵日本書籍調査の打ち合わせのために、ナポリ東洋大学非常勤講師のロベルタ・ストリッポリ氏が、7月25日〜8月7日まで来日した。ナポリ国立図書館所蔵日本書籍調査を、9月6日〜10日まで行い、合計74点の日本書籍の書誌調査を行った。ナポリ東洋大学蔵日本書籍は近代以降のものであることが、予備調査の結果判明した。ナポリ東洋大学の日本文学研究者との意見交換を行った。キオッソーネ東洋美術館の調査は、美術館工事で調整がつけられず、今年度調査は見送ることとした。2.フランス昨年度に引き続き、7月5日〜7月23日、1月17日〜1月22日の日程で、パリ東洋語図書館に所蔵される、1945年以前に日本において刊行された文献の調査を行った。調査した文献は457点であり、この中には志賀直哉旧蔵の『病牀録』(国木田独歩著)など、日仏文化交流を考察する上で貴重な文献が多数含まれる。パリ東洋語図書館の網羅的な調査はこれをもってほぼ終了したので、これまで収集したデータを点検・整理しつつ、図書目録の作成・刊行に向けた作業を開始した。また、この調査・研究によってはじめて明らかとなる東洋語図書館所蔵日本文献の全貌とその意義について、フランスを中心としたヨーロッパの日本学研究者にひろく知らしめるため、パリにおいてシンポジウムを開催する協議を、東洋語図書館およびコレージュ・ド・フランス日本学高等研究所との間で開始した。
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国文学研究資料館紀要 文学研究篇 第31号
ページ: 277-293
調査研究報告 第25号
ページ: 139-172