研究課題/領域番号 |
15251005
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
小川 英文 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (20214025)
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研究分担者 |
青柳 洋治 上智大学, 外国語学部, 教授 (60146800)
小池 裕子 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 教授 (40107462)
富岡 直人 岡山理科大学, 理学部, 助教授 (90241504)
奥野 充 福岡大学, 理学部, 講師 (50309887)
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キーワード | 狩猟採集社会の存続 / 農耕社会との食料・労働力の交換 / 相互依存関係の歴史過程 / 地域的土器編年体系 / GIS地図情報データベース / AMS14C年代測定法 / 安定同位体古食餌分析 / 古環境復元 |
研究概要 |
本年度も考古学(洞穴・貝塚・民族考古)、古環境学(地質調査・動物骨分析)、先史人類学(C14年代測定・同位体分析)の各班に分かれて調査を実施し、以下の成果を残すことができた。 1.カガヤン川東岸10km内陸の丘陵地域で、昨年度発掘した洞穴群付近を中心に分布調査を行い、4000〜3500年前の有文赤色スリップ土器群が散布する開地遺跡を2ヶ所発見して発掘調査を実施した。その結果、有文赤色スリップ土器群と剥片石器群が共に出土し、狩猟採集社会と農耕社会がモノと情報の交換を行っていたとする仮説を支持する資料が得られた。 2.マガピット貝塚の発掘により、土器編年体系を絶対年代で補強するために、有文赤色スリップ土器群期の年代測定用サンプルを確保した。 3.カタヤワン貝塚の貝層ボーリング調査により長さ2km、幅100m、深さ2mという他に類を見ない貝層規模が確定され、2000年にわたり貝肉が交換・交易に利用されたという仮説の可能性を開いた。 4.遺跡出土の動物骨同定のため毎月現存魚種サンプルを採取し、魚骨リファレンスを作成して、今後の詳細な生業復元の基礎を築いた。 5.貝採集と稲作以外に低地社会を支えた鉄生産の実態解明のためイベ貝塚出土遺物群(鉄滓と焼粘土)を分析し、2000年前の有文黒色土器群期からこの遺跡で鉄生産が行われていた可能性を発見した。 6.沖積地のボーリング調査を開始し、古環境と生業活動の関係態復元の基礎資料を得ることが可能となった。 7.当該地域6期(4000年以前から現在まで)にわたる遺跡分布の変化のパターンを抽出するため、GISを用いた調査成果のデータベース化を継続した。 8.研究代表者は各班の成果を総合して先史狩猟採集社会と農耕社会との接触初期の社会的モデルを構築した。
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