研究課題
本年度も考古学(低地貝塚・丘陵開地遺跡調査)、古環境学(地質調査・動物骨分析)、先史人類学(C14年代測定・同位体分析)の各班に分かれて調査を実施し、以下の成果を残すことができた。1.ラロ貝塚群7000年間の遺物群の型式学的編年体系を新たなAMS14C測定年代値を得て、昨年度よりも精緻なものとした。その編年序列は剥片石器群(7000-4000calBP)、赤色土器(4000-3700calBP)、無文赤色土器群(3400-3000calBP)、有文赤色土器群(2900-2400calBP)、有文黒色土器群(2300-1500calBP)、無文黒色土器群(1500-1000calBP)、貿易陶磁(600-500calBP)の7期の時代的変遷をたどることが明らかとなった。また従来ラピタ土器との関連が指摘されてきた有文赤色土器群は、新たに2900-2400calBPの年代測定値を得たため、ラピタ土器よりも新しいことが確認された。2.丘陵地域の調査を継続し、新たな遺跡の発見と発掘により、剥片石器群と有文赤色土器群の共伴を昨年度に続き再確認した。3.丘陵地域の遺跡発掘により、ラロ貝塚群では出土しない型式の土器を新たに検出した。これにより丘陵地域ではラロ貝塚群以外の地域ともネットワークを結んでいたことが明らかとなった。4.遺跡出土の動物骨同定のため収集してきた現存魚種の魚骨リファレンスが完成し、生業復元研究を開始した。5.地質班はカガヤン川下流域沖積地の形成過程復元調査を継続し、古環境と生業活動との関係を解明する資料を収集した。これらは現在分析中である。6.代表者小川は研究成果を統合して、当該地域先史時代における狩猟採集社会と農耕社会との接触初期の社会的モデルを構築し、公刊した。
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